ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

『五等分の花嫁』第87話 四葉を迎撃する準備を整えろ

・四葉を想え

お前は四葉のことを真剣に想ったことはあるか。ひょっとしてまだ、四葉のことをナめてるんじゃあないか。もしかしてまだ、自分が死なないとでも思ってるんじゃないか? お前もしかしてまだ、自分が四葉に殺されることは無いとでも思ってるんじゃあないかね??

三玖が可愛い。そうだな、それは正しいな。私もそう思う。お前はいつだって正しいことを言う。でもそれだけじゃあダメなんだ。わかっているだろう? もう大人になる時が来たんだ。君も人生に向き合う時が来たんだ。三玖の瞬間最大風速は序盤〜中盤にあったんだ。逃げ馬は差されるんだ。それが人生の理なんだ。

二乃も可愛い。そうだな、それも正しい。私も強くそう思う。ツンデレの古龍種を復活させた功績は大きい。自分に素直な姿勢は、とても好感が持てるな。でもダメなんだ。二乃の瞬間最大風速は、ちょっと前に過ぎ去ったんだ。彼女のパワーはAだったが、持続性はEだったんだ。とても惜しかったんだ。

一花に魅力を感じる。そうだな、彼女はとても魅力的だった(過去形)。女性の嫌らしさを中盤から見せ始め、修学旅行直前で覚醒し、邪悪さを振りまき、マガジン読者を良くも悪くも興奮させた功績は大きいな。修学旅行編は、ある意味彼女が最も目立っていた。でも彼女は第86話で死んだんだ。いくら呼んでも帰っては来ないんだ。もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ。

f:id:netoneto:20190529173424p:plain

五月。彼女は可愛いマスコットだ。とてもチャーミングだ。

 

さて。お前は、今週の五等分の花嫁を読み終え、四葉のターンが決定的に始まったことを否が応にも自覚してしまったはずだ。おそらく最初で最後の過去編の始まり。タイトルは「私と姉妹①」。少なくとも⑤までは続くと予想しよう。これまで意図的にモノローグを封印され、主役を控えられてきたリーサルウェポンが、いま解放されることに、お前は恐れおののいていることだろう。恐れおののいているだろう?

恐れおののいていないのか??

お前は五等分の花嫁の、いったい何を読んできたんだ? 間違ってニセコイを読んできたんじゃないだろうな? あれは焚書指令を下しておいたはずだが、まだブックオフに残っていたのか?

あなアワレ。だが大丈夫だ。四葉ブレインウォッシングが未だ完了していない可哀想なお前らのために、私が今回記事を書くことにした。私と一緒にブレインウォッシングして、綺麗な脳ミソになろう。それはとても気持ちの良いことだ。

 

・四葉を振り返れ

物語の最初から四葉に注目して振り返っていこう。

f:id:netoneto:20190529180037p:plain

f:id:netoneto:20190529180118p:plain

賢明なお前らにより100万回言及されていることだが、この画像の通り、四葉が写真の子であろうことは、第一話から伏線が張られていた。とはいえ決定的なほどでは無かったわけだが、第86話でついに答え合わせが為され、作者が始めから物語を綿密に構築していたことが示されることとなった。

続く第二話から、四葉は風太郎に寄り添い、あからさまに彼の肩を持つことになる。その優しさから、某お前らは四葉のことを「天使」と呼ぶようになった。しかしこの優しさには、やはり理由があることが分かったわけだ。

f:id:netoneto:20190529181540p:plain

まぁ当然こういうことである。直後に「嘘」と言っているが、「嘘」自体が嘘であり、四葉は最初から風太郎のことが好きで、味方をしていたわけである。なお、メタ読みにはなるが、アニメ版の声優の演技で「嘘」があからさまな棒読みだったことも裏付けになっていると言われている。

またこれは予想であるが、「好きだから」と言った瞬間の四葉の表情が、恐らく今回の過去編で明かされるだろうと思っている。そしてその演出は、きっとエモい。今までのどんなシーンよりも、きっとずっとエモい。たぶん泣く。作者の演出の巧さは今やマガジン随一であることは分かっている。魅せてくれネギ先生。四葉、私を泣かせてくれ……。

f:id:netoneto:20190529182500p:plain

たまにモノローグがあったかと思えば、純粋なる利他的な思い。四葉はずっと風太郎の味方をし、いつも風太郎を楽しませることを考えて行動してきた。自分の気持ちは胸に秘めたままに……ウッウッ。このあと四葉は林間学校を風太郎ファーストで行動したのはご存知の通りである。

f:id:netoneto:20190529184324p:plain     f:id:netoneto:20190529184341p:plain

第36-37話はある意味四葉のご褒美回である。当然、四葉のモノローグは徹底的に排除されているので、この時何を想っていたのか推測しなければならないが、このなんちゃってデート回が、四葉に迫る一番のヒント回でもあったわけだ。

f:id:netoneto:20190529184425p:plain

このコマの直後の風太郎も気にかけているが、四葉の「闇」とも表現される領域である。利他的に過ぎて、自分の願望が分からなくなっているわけである。が、このエピソードとしての答えとして、以下が提示される。

f:id:netoneto:20190529184739p:plain

欲しいものは風太郎の笑顔だったわけである。ふつうに読んでいたら、このエピソードのシメとしてはとても美しい、ようにみえる。私もなんとなく納得して読んでいたが、しかしよく考えてみると、やはり四葉は他者の幸せが自分の幸せであり、結局のところ利他的であるという点で、根本的にはなんら変わらない。改めて気づきを得ただけである。四葉の好きなブランコによって笑顔がもたらされたという点で、構造として美しくみえるが、実際のところ、四葉の変化が起こるエピソードでは無い。むしろ四葉の四葉性が強化されているとも言える。ある意味「闇」は深まった。その利他性の純粋さには胸を打たれるが、同時に四葉自身をないがしろにしかねないその危うさは、とても見ていられない。

そしてその危険な利他性は、とうとう四葉にこんな表情をさせてしまう。

f:id:netoneto:20190529191047p:plain

一気に巻数をすっ飛ばしてしまったが、しかし、よくよく読むと、四葉が表に出てくるエピソードはこの間ほとんど無いのである。四葉が陸上部に振り回される話で、四葉の利他性が悪い方に作用したことを示したり、全員にスポットが当たった各々の勉強回では、四葉が落第/転校の原因になったことが判明したり、と、もちろん大切な情報は沢山あった。四葉の国語力で姉妹の「お手本」になれたり、温泉で一花を励ましたり、姉妹愛的(そして利他的)なエピソードも色々あった。

が、四葉と風太郎の関係性にまつわる話は、ほとんど無い。もう、ほっとんど無い。五月でさえ、風太郎との関係性はどんどん変化していっているのに、四葉と風太郎の関係性は、最初からまるで変わらない。当然の話である。四葉は最初から風太郎のことが好きで、かつ、その想いを表に出さず、何のアプローチもせず、関係を変えようとしてこなかったのだから。

しかし、上記画像のエピソードである第72話。

f:id:netoneto:20190529192620p:plain   f:id:netoneto:20190529192634p:plain

クラスメイトからの意表を突く一声に、取り乱してしまう四葉。このリアクションに、おそらく多くのお前たちもまた意表を突かれたはずだ。四葉としては、秘めていた気持ちが、ついつい表に出てしまい、その結果、考えないようにしていた、風太郎と恋人同士になるという可能性を、頭に思い浮かべてしまったわけである。

しかし四葉は、すぐに現実に戻る。姉妹を優先する、利他的な自分を一瞬にして取り戻してしまい、哀しい笑顔を浮かべて、哀しい言葉を風太郎に投げかけてしまう。

f:id:netoneto:20190529192644p:plain

四葉……。

この後は、四葉はいつものように想いを秘め続け、修学旅行では三玖の味方をする。四葉の想いに気づいたのであろう五月が、四葉のために暗躍しようとするが、途中で四葉に気づかれてしまい、結局、修学旅行において四葉が前面に立つことは無かった。

そして修学旅行が終わり……。

f:id:netoneto:20190529193543p:plain

良くないぞ四葉。まったく良くない。四葉は幸せにならなければならない。

そのことをプロフェッサー・ネギはよくわかっている。だからついに四葉のターンが、いま、始まったのである。

 

・第87話

f:id:netoneto:20190529193948p:plain

モジャモジャヘボ監督の言葉がきっかけで、「みんなのお手本になる」という価値観が生まれる。この瞬間、羊水の中から変わらず同化を続けていた五つ子の中から、「四葉」という個性が誕生した。四葉は、このときに生まれたと言える。

たとえば長女の一花が以前からガキ大将的存在であったという話もあったが、それは実際、無意識的なものであり、大きな差別化では無かったはずである。意識的に最初に差別化を図ったのが、四葉。温泉回で自ら語っていた通り、四葉が意識的に変わろうとし始めたのである。おそらく風太郎との出会いで変化が加速し、うさちゃんリボンという記号を身につけることで、変化を明示化したのだろう。(という話も、きっとあと数話のうちに展開すると予想する。)

f:id:netoneto:20190529194724p:plain

我々は右のコマに注目しなければならない。風太郎目線ではどうだったか?

f:id:netoneto:20190529194826p:plain

風太郎目線では、まるで女神である。しかしその女神は、実は「四葉」というまだまだ没個性的な少女であり、このシーンでも緊張して拳を握っていたことが、今回判明した。

 

最終兵器・四葉の(読者への)攻撃が、次の回からいよいよ本格化する。未だかつてない過去編で、ほとんど描かれなかった四葉の想いが、この先噴出を極めることになる。我々は、四葉を迎撃する準備を整えなければならない。さもなければ、奇襲を喰らい、意味もわからず屍になりかねない。そうではない。お前は四葉を正面から向かいうち、堂々と四葉に倒されなければならない。なぜ自分が屍になってしまったのかを、理解しながら死ななければならない。それが漫画を読むということだろう?

四葉のことを想え。 

 

[まとめ買い] 五等分の花嫁
 
週刊少年マガジン  2019年 26号[2019年5月29日発売] [雑誌]

週刊少年マガジン 2019年 26号[2019年5月29日発売] [雑誌]

  • 作者: 西尾維新,大暮維人,氏家ト全,和久井健,真島ヒロ,春場ねぎ,山本崇一朗,安田剛士,猪ノ谷言葉,宮島礼吏,瀬尾公治,金城宗幸,ノ村優介,流石景,五十嵐正邦,金田陽介,朝霧ユウキ,高畑弓,大高忍,千田大輔,寺嶋裕二,小高和剛,中山敦支,工藤哲孝,笹古みとも,英貴,大今良時
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/05/29
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る