ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

現実的な日記14

久しぶりだな。私はねとはだ。

最近、道に落ちていたデブデブの実を拾い食いしたところ、見事に動くデブになり果てた。悲しい脳、悲しい脳。

痩せたい、痩せたい、と願っているが、一向にガリガリになる気配が無い。当たり前の話だ。ダイエットに成功するには、ガリガリの実を探して食うしか無いのだから。昨晩も、ひょっとして、と思いながら、ゼロ時にタコ焼きを食った。まだ痩せてないから、あのタコ焼きはハズレだ。ふざけるな。

ところで書きかけの記事が山ほど残っているが、心から、続きを書きたい、書きたい、と願っている。願うのは罪では無い。喜ばしいことだろう?  特にロッタレインのはちゃんと書きたいと思ってるけど、アレ精読するの、ごっつエネルギー要るから、ねとねと動きづらい。スマン脳、スマン脳。。。

マンガはちょこちょこ読んどる。最近やたら話題になってる、わたモテを一気読みしてみたら、皆さん仰る通り、ねじれV字型に振り切れてむっちゃ面白くなってて、ひょっとしたら今一番面白い漫画の可能性すらある。ツイ4の「文学少女(偽)」を読んで喜んでる場合じゃなかった。皆、わたモテの7巻まではざっと読んで、8巻から精読するのがよろしい。インターネッツ集合知もそう告げている。従え。

あとイチゴーイチハチが非常に地味な漫画ながら渋く面白い。月1連載かつ地味地味スローペースだから、ゆっくり追ってる人は現段階でかなり少なくなってるだろうけど、これも一気に読むとかなり良い。まだ一刷しか出てないって最近でも作者が呟いてたけど、勿体無い話だ。ガンスリはあんだけ話題になってたのに、売れっ子の作者の新刊だからって無条件に売れるわけでは無いんやな? ちなみにイチゴーイチハチが好みだったから、これまで忌避してたガンスリを今更まとめ読みしたんだけど、残念ながらそっちは当初の予想通り好みでは無かった。好みじゃない理由はいくつかあるけど割愛しておきましょう。

 

というか書くことが無い。正確にいうと、書く価値があるものが何であるのか分からない。カテゴリー無きディメンジョンは、目印の無い荒野の地図を描くようなもので、結局のところは、打ち立てるべきフラッグか、それに類する何かが必要なのだ。

旗を持ってこい。旗を。

松本剛『ロッタレイン』のすべて➁

※ 以降の記事は、私なりの精読を文章化するものであり、既読者向けです。第1~4話まではwebで試し読みhttp://hi-bana.com/works018.htmlできるので、未読者は最低限それは読みましょう。そしてその後は買いましょう。

 

★第1話

そもそもにして、最初の見開きのカットが美しい。どう表現したら良いのか……全てを投げ打ったかのような二人の暗き情愛を感じさせる。この絵だけで、クる人には、クる。作品の方向性を示す、重要なカットだが、この時点で既に私は虜となった。

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物語は、入院中の病室のカットから始まり、バス事故の経緯が説明され、全てを失った主人公が描写される。その心象風景は、現実の風景と重ね合わされる。

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この場面などは一(はじめ)のセリフの介入により、わかりやすいが、全編を通してこの作品、登場人物の心象を風景に投影したようなカットが度々出てくる。読者はそれを読解し、咀嚼し、じっくりと味わう。本作の醍醐味の一つである。

そして失意の一の元に突如、少女・初穂が訪れる。

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画像左のカットは、ラストシーンとの対比を為す。画像右は、少女の美少女性を示すカット。恐らくは唇に力点を置いて作画されているはずである。唇は彼女の美しさを表す象徴として、その後も機能する。

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「来ないで」と意味深な発言を残して初穂は立ち去る。その翌日、彼女と共に、自分と母親を捨てた父親が現れる。「はじめまして」と告げる初穂。父親の前では、無邪気な振る舞いを見せる彼女だが、一に対しては静かな目配せを送る。

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個人的には、画像右に示した"目配せ"が、第一話最大の見所であった。「わかっているでしょうね」といわんばかりの冷たい視線。しかしそれだけに、"素"の自分。画像左の"演技"との対比。後に判明する、少女の孤独性の暗示。そして無言とはいえ、二人の最初のコミュニケーションとも言える。いくつかの想いがこの静かな二コマに含意されている。作者の画力とネーム力の一端である。

その後、一が父親から、一緒に暮らそうと告げられるところで第一話は終わる。

松本剛『ロッタレイン』のすべて①

10月12日。どうしようもないくらいに最高の漫画の完結巻が発売された。きっとしばらくの間、この漫画のすべてが頭から離れないと思う。

松本剛『ロッタレイン』。単行本が出るのを、この3年間、心より待ち続けた。『IKKI』2014年6月号連載開始。同誌の休刊により『ヒバナ』への移籍を経て、2017年6月号で完結。そしてこの8,9,10月の3ヶ月連続で単行本が刊行された。

“静”と”動”の巧みな描写で感情に多大なる揺さぶりをかけてくる、恐ろしいほどに叙情的な、圧倒的な漫画表現。魅力も欠点もある、登場人物の子供や大人たち。新潟の閉塞感あふれる田舎町で、彼ら彼女らの思惑が交錯・錯綜、やがては衝突し、一つの結末へと収束してゆく。全3巻。序・破・急の構成。

……玉井一(はじめ)、30歳。東京でバスの運転手を務めていたが、母親を亡くした直後に、恋人が上司と浮気をしていたことを知り、精神を崩し、仕事中に事故を起こす。家族も恋人も仕事も失った一の元に、かつて自分と母を捨てた父親が現れ、一緒に暮らそうと告げる。父親には、再婚した女性との間の息子、そして、女性の連れ子である娘がいた。13歳の美しい少女、初穂。血の繋がっていない妹。一は新潟の父の元へと赴き、新しい家族と、新しい生活を始めるが……。

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雑誌連載一話の煽り文句は、「僕たちは、出会ってしまった」。30歳の全てを失った男と、13歳の孤独な少女との関係が描かれる。少女は美しくあるが、境遇ゆえに、どこか汚れた意識を拭えない。それゆえに、脆さと力強さを併せ持った、儚げで危うい魅力を身にまとっている。男はそれに惹きつけられ、庇護欲とは別の、特殊な欲求を抱いていき、やがては……。

ロッタレインの意味は「土砂降りの雨」。暗く官能的で、ヒリつくような感情を読む者に喚起させる。松本剛の漫画は、読者から何かを奪い去り、別の何かで埋めてゆく。氏の代表作は2003年『甘い水』。寡作の漫画家で、オリジナルの長編は、本作が『甘い水』以来となる。『甘い水』も傑作と言えたが、本作『ロッタレイン』は、さらにその先を行った。

これからこのブログで本作『ロッタレイン』の読解を試みたいと思う。

 

ロッタレイン(1) (ビッグコミックス)
 

 

漫トロピー⑮

5月23日は特殊な一日だった、ようだ。というのも、その日僕は風邪をひいてしまったため、サークルを休んでいた。なので、間接的に聞いた話になる。

新歓コンパが終わっても、まだまだ5月なので、入会希望者は来る。来るのだが、まさか、知り合い、しかも高校時代の同級生が来るなど、思いも寄らなかった。

 

彼はHN”電球”という男で、彼もまた、駅で野宿をする系の謎のサークルを立ち上げていたらしい。その折に、掲示板に貼ってある他のサークルのビラをはがして楽しむアクティビティに興じていたところ、たまたま漫トロピーが彼のアンテナにひっかかったらしい。どうやら、僕のステータスに記載していた『ヴィンランド・サガ』が目を引いたようだ(わかりづらいかもしれないが、これは僕の自慢である)。

 

そういうわけで、本当に偶然に、さらにひとり、高校の同級生が加わる形となった。(彼がサークルにやってきて、「ん? あれ? お前、◯◯やんけ」的な会話が繰り広げられたと聞く。そんな面白い現場、僕も居合わせたかったものだ)

なので、翌週の5月30日に僕は彼と再会し(高校時代はそれほど親交は深くなかったが)、今日まで深い付き合いが続いているわけである。色んな偶然が重なった上で起こる、感慨深い話だ。

 

さて、2008年6月は特別な活動をするでもなく、食堂ルネでの会合を毎週続けていた。各自漫画を持ってきて、漫画を勧めあい、貸し借りを行い、またレジュメを使った漫画レビューを週替わりで担当したりして、サークル活動に興じていた。メンバーも固定されてきて、活動が安定してきたのは、とても良いことだった。が、決定的に足りない要素があった。

活動場所である。

食堂ルネに毎週毎週漫画をうず高く積み上げ、漫画レビューの発表を声高々に行うのは、ちょっと、どうなのだろうか。食堂ルネは、そもそも、食堂なのである。飯を食う場所である。まぁ、我々の他にも、飯を食う以外に様々な活動に興じていたりする面々は数多くいるので、周りに迷惑というほどではなかったと思うが、その逆のベクトルとして、少々肩身が狭かった。我々は比較的恥知らずであったとはいえ、もっと開放的になれる空間が欲しかったのだ。

そんなこんなで、我々は安定した活動場所を求めて、彷徨うことになった。

色々探したが、ひとまず最初に腰を落ち着けたのは、某学部にある図書館のグループ学習室である。これは、使用するにはグレーゾーンであった。我々の活動は、グループでの学習という名目たりえるのか。甚だ疑問ではあったが、さしあたっては、たりえたことにした。漫画という文化の学習である!

 

図書館での活動を始めたのは7月に入った頃だった。食堂と違った閉鎖空間での活動は、当たり前だが、居心地が全然違った。喧々諤々に議論もできるし、座談会もできる。

さしあたって、我々は今後の活動予定を決めることにした。8月は休みにして、9月の半ばから活動再開すること。ただし8月の15~17日は、夏合宿という名目で夏コミに行くこと。11月の学祭(通称:NF)で、機関誌を発行すること。などなどである。

 

予定も決まったところで、7月11日、我々は初の座談会を敢行することとした。名付けて、「漫トロピー夏100」である。

 

《続く》

漫トロピー⑭

三条ブックオフ企画とは、文字どおり、京阪三条駅に直結している、界隈では有名なブックオフ(しばしば待ち合わせスポットとしても使われる。渋谷におけるハチ公前と同じようなものである。知らんけど)において、各自、お得に面白い漫画を買い漁ろう、という前代未聞かつ斬新でエポックメイキングな企画である(知らんけど)。

演技に素人な役者がとりあえずはしゃいでみるかのように、サークル活動の先行きがまだまだ不透明で運営も素人であった我々は、こういう遠足のような形で、とりあえずはしゃいでみることにしたわけである。

ふつうのサークルの課外活動であれば、みんなで楽しく(?)ダベりながら、親交を深めるのであろう(知らんけど)。その点、我々は一味違う。ブックオフでぺちゃくちゃ喋るなど言語道断。立ち読み客の皆様にご迷惑をかけてはならない。我々はストイックに、本棚をなめるように視線を走らせ、お眼鏡にかなう漫画の後光(halo)を見出すやいなや、俊敏に漫画を手に取り、シュバシュバッとページをめくり、そしてスッと棚に戻すか、カゴに入れるか、瞬時に判断を下したものである。嘘である。本当は集団でブックオフに押しかけ、他の客に紛れ込んでモクモクと立ち読みを行い、100円コーナーで好きな漫画を見つけ、適当に買い込んだだけである。一時間か二時間かそこら、時間制限を設けて、ブックオフの中で時折サークルメンバーとすれ違ってはヒソヒソと喋り、そしてその場を離れる。まぁストイックという点ではある意味正しい……のかもしれない。

 

しかし、マジにストイックだったかもしれない。というのも、記録が残っている。購入物はメンバー全員で合わせて110冊だった。初回の遠足にしては、結構な量と言えるのではないか? せっかくなので、またしても記録を写しておこう。今回はHN込みである。これを読んでいる、当時のメンバーたちは、恥辱に打ちひしがれるがよい。

 

ねとは:委員長お手をどうぞ/弥次喜多inDEEP/PEACE MAKER/ももいろさんご/電動侍/TOKYO TRIBE/しましま曜日/ハンニャハラミダ/カステラショック re-mix!!/ノートブック

渡来僧天国:紅い花/ねじ式/のみに行こうぜ!!/まんがアカデミア/ポンズ百景/明日があるさ/Funky Monkey Ready Go/四年生/森の妖精のはなし/篠房六郎短編集

わんだ:ハレのちグゥ

iwao遊戯王GX/ソワカ/神撫手/されど罪人は竜と踊る/学園はっぴぃセブン/はりだま退魔塾

ツル:げんしけん/QUIZ/麦わらドリル/機動旅団八福神/邪眼は月輪に飛ぶ/フリージア/夕凪の街 桜の国/恋の門/向こう町ガール八景

sagee:ケンロウ伝説/ラブやん/課長王子外伝/骨の音/TATOO HEARTS

ぱんちか:もものたね/ZONBIE-LOAN/まりあほりっく/都立水商

ポッポ:ブギーポップは笑わない/Ka.Na/白姫抄

さなさぎ:ジパング/サディスト神様マゾヒスト仔羊

 

みんな字が汚いので、多分いくつか間違ってる上に、いくつか飛ばしたし、記録に残ってないのもあるので、上記以外もある。書いてない人もいるし。(なお上記の誤字脱字は僕の責任でございます)

 

なにはともあれ、みんなで100冊以上の漫画を買い込んでブックオフを出た後、近くの通称「土下座像」という(むしろこっちの方がハチ公っぽいのだが)像の前に漫画を並べて、記念撮影を行った。おそらくこれが最初の、皆で集まった記念写真である。恥ずかしながら、私の結婚式の生い立ちムービーでも、この写真を使わせて頂いた。もはやいつ見ても懐かしい、感慨深い写真である。

 

ちなみに完全にこぼれ話になるが、このブックオフ探検中、途中で”あも”というHNの女性も参加してくれていたのだが、(今でも非常に申し訳なく思っているのだが、)最後ブックオフを出る際に召集をかけた時、彼女を呼ぶのを完全に忘れてしまっていた。なので記念写真にも写っていない。このことに気づいたのは、写真を撮り終わったあと、近くのラーメン屋で麺をすすっているときだった。「アアーッ!!」と声を張り上げたので、周りをびっくりさせてしまった。”あも”さんには今でも申し訳ない。あの時はすみませんでした。

 

《続く》