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NieR:Automata [ニーアオートマタ] レビュー (シナリオのネタバレ無し)

綺麗なお姉さんのお尻は好きですか? その答えが「はい」でも「いいえ」でも、多くのあなた方は『ニーアオートマタ』をプレイした方が良いだろう。ドチャクソに面白かった。どのくらい面白かったかというと、「これほどまでに卑しいわたくしめごときがこんな素晴らしきゲームを楽しんで良いのでしょうか、アーメン」と膝をついて涙を流しながらスクエアエニックス本社ビルに向かってお祈りを捧げたくなる程度には面白かった。10点満点中、10点。さぁ、哀れなる未プレイのあなた方に対して、ネタバレを控えた範囲内で、このゲームの素晴らしさを語りかけて差し上げよう……。

発売日は2017年2月23日だから、今で発売後約一ヶ月くらい、割と出来立てホヤホヤだ。なぜ冒頭でお尻を持ち出したかというと、もちろんネットで主人公のお尻がバズっていたからだ。皆さん、とっくにご存知なんだろう? この辺りも含めて、要素ごとにレビューしていく。

 

・キャラ

兎にも角にも、キャラが立っている。主人公は、アンドロイドだ。女性型の「2B」を我々は操作することになるのだが、まずは画像検索でも公式ページでも何でも良いから、その造形を見てみて欲しい。

謎の眼帯と、女性性を絶妙に強調した黒の衣装。誰だよ?このデザインを編み出したやつは。グッドデザイン賞でも何でも良いから、良さげな賞を見繕って進呈して差し上げなさい。バズった尻は、その黒のスカートの下から白のレオタードとしてチラチラと見えており、ある種の神々しさすら放っている。そんなお色気要素を除いても、単純に衣装としてカッコイイし可愛い。たまに眼帯が外れるシーンがあるが、当然、美少女だ。程よくリアリスティックかつ、程よくアニメチックな、日本人が憧れる、クールな西洋顔。顔も衣装もスタイルも含めた造形の点数・・・それは、100ポインツ!

キャラ(性格)はどうだろうか? それも最高。クールでカッコよくて意外と大雑把。そして、"ツンデレ"から派生した、連綿と続く、キャラの樹形図の先端に位置する、もはやツンデレを乗り越えた先にある、何か。アンドロイドではあるが、そこには愛らしい人間性が芽吹いている。ツンとデレのギャップというよりは、ロボティックとヒューマニックのギャップとでも表現すれば良いのか。

ついこの前、『Horizon Zero Dawn』の主人公のキャラ立ちがイマイチという記事を書いたばかりだが、あの彼女とこの彼女の魅力の差は歴然。雲泥の差とはこのこと。

我々は漏れなく、この女性型アンドロイド「2B」を愛することになるだろう。そしてそのキャラクターを動かす喜びに震えることになるだろう。

 

・BGM

こちらも、サイのコウ。誇張抜きに、ゲーム中に流れるほとんどの音楽が素晴らしい。ビルの廃墟街で流れる、静謐で澄んだ、かつ切なさも入り混じった曲をはじめ、主人公が訪れる様々なエリアの雰囲気に見合った、美しい音楽の数々。戦闘のBGMも、単純にテンションが高いわけではなく、どことなく悲壮感が漂っており、やはり素晴らしい。ストーリーがストーリーだけに、全編通してかなり切ない空気が漂っているのだが、その雰囲気と音楽とのマリアージュは実に抜群。

私も今やいい大人になってしまったが、ふと、どこかから漂う謎の懐かしい匂いで、子供の頃の思い出が唐突に蘇ったりする。それは嗅覚を司る脳領域と、記憶を司る脳領域とが近い場所にあるから起こるのだ、という説があるが、それはともかく、ゲームには匂いは無い。しかしゲームには音楽がある。音楽を聴いたら、昔のゲームプレイの記憶が蘇ってくる。たとえば「ビッグブリッヂの死闘」を聞けば、ギルガメッシュのシーンが頭に浮かんだりする(FF5)。何が言いたいかというと、とにかくゲーム中のBGMは、非常に大事な要素だということだ。そして『ニーアオートマタ』は間違いなくその水準をクリアしている。それも非常に高いレベルで。エンディングが終わった直後、迷わず私はサントラの予約注文をした。ちなみにあと数日で発売するようです。

 

・シナリオ

ネタバレするわけにはいかないので、微妙な範囲内でお伝えするが、もちろん、これまた素晴らしかった。エイリアンが放った機械生命体により、月に追いやられた人類が、地球を奪還するため、戦闘型アンドロイド(主人公はその一人だ)を投入するという設定だが、この時点で既に何とも悲壮感が漂っている。ゲームを進めていくと、徐々にさらなる事実が明らかになっていくわけだが、それがもう、ゴニョゴニョ。

これは言っても大丈夫と思うので言うが、本ゲームはマルチエンディングであり、主要なエンディングはA〜Eの5つある。その5つを見ることによって、初めてこのゲームをクリアしたと言えるだろうし、言い換えれば、その5つを見ないと買った意味が無い。恐らく、このゲームのメインテーマの1つとして「自我」というものがあると思われるが、なかなかに考えさせられるものはある。既存のSFで使い古されているテーマかもしれないが、主人公のアンドロイドを自分で操作することにより、初めて感ぜられる体験だとも言える。これが、ゲームの良いところだ。

 

オープンワールド

いちおう、オープンワールドと謳われているが、さして広大では無い。ちょっと頑張れば、チャリで回れるレベル(もちろんこのゲームにチャリは出てきません)。けれど、また「Horizon Zero Dawn」を引き合いに出して申し訳無いが、あちらは、広大だけれど風景の面白みに欠けていた。しかし本ゲームは、相対的に狭いながらも、どこに行っても風景の魅力に溢れていた。自然+廃墟=最高。まぁ、私が廃墟好きというのもあるかもしれないが、結構、皆さん、廃墟、好きでしょう? もしそうなら、エリア内を走り回っているだけでも楽しめると思う。

 

・戦闘/ゲーム性

これも良い。まず、通常時の戦闘も、なかなかの爽快感。「ポッド」のレーザー砲をR1ボタンを押しっぱなしで放ちつつ、□や△ボタンで剣を振るい、R2ボタンで回避行動を取り、ジャンプも二段ジャンプできるし空中ダッシュもできるしで、ちょうどいい加減で集中して楽しめるので、気持ち良いものがある。ボス戦も、それぞれのボスで個性的なギミックの攻撃を放ってくるので、立体的にタイミングよく避けながら、隙を発見して狙う、というアクションの伝統的な醍醐味は十分に味わえる。

そして、ボス戦で挟まれる演出。ネタバレは控えるのであまり言えないが、このシナリオの設定をうまく取り入れた、様々な画期的な演出が出てくる。これには膝を打った。ある意味衝撃的で、非常に盛り上がる。個人的には中盤にある死闘と、終盤で使われるとある仕掛けには、心から凄いと思った。もちろん、ゲーム中のテンションは爆上がりだし、こうしてこの記事を書いている今でも、そのバトルとBGMが頭に浮かんでくる。

飽きさせず、新鮮で、エンターテイメント性に溢れ、それでいて必然性も伴った、絶妙な演出だ。

 

・まとめ

ちょっと欠点が見当たらない。強いて言えば、ザコがいささか固くて面倒になることがある、くらいか。とにかく、上に書いたような、キャラ・世界観・シナリオ・音楽・演出、その全てが有機的に結びつき、堅牢なる強度を誇った傑作『ニーアオートマタ』が此の度、爆誕したのだ。

様々な要素がフックになり得る。別にお姉ちゃんのお尻から入っても良いし、カッコいいキャラを操作したいでも、廃墟好きでも、ゲーム音楽好きでも良いだろう。ちょいと手をつけたら、グイグイとストーリーの中に押し込まれ、これぞゲームだ!といわんばかりの体験をさせられることになるだろう。

ちょっとでもアクションゲームが好きなら、買って損は無いのではないだろうか。あと、そういえばこのゲームは『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』の続編にあたるが、私は前作をプレイしていない。多分、プレイ済みならより一層楽しめるのだろうが、これ単体でも十分楽しめるはずだ。さて、私は今からメッカ(スクエニ本社)に向かって祈りを捧げるから、その間にみんなは購入の検討に入りなさいな。

 

 

 

 

現実的な日記8

!! caution !!

本日の現実的な日記は、いつもの現実的な日記と比較し、より現実的な日記になっています。普段の現実的な日記をご所望であれば、尻尾と尻を振りながら脱兎のごとく逃げるが良い。。。ここは記録の場。アーカイブ・スペース。

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昨日は出席したのさ。結婚式にさ。良く知ってる二人だったのさ。なんせ、漫トロの申し子たちだからさ……。いろんな感情が揺り動かされたさ。お味噌シェイクシェイクよ。さぁ、問題の無い範囲内で事実を書こうじゃないか。

 

朝起きる。当たり前だ。起きない朝など無い。嘘だ。朝起きない時もある。しかし昨日は朝起きた。我々はサプライズをする必要があった。そのリハーサルもあるので、早めに式場へと足を向けた。道中は電車だ。そして私は白いネクタイに白いハンカチのイデタチだ。どこからどうみても、冠婚葬祭のコンに当たる姿だ。車内に他にそんな姿の人間はいない。私は選ばれし特別な人間なのだ。おお、傲慢なネトハよ……・

 

会場に着いた。サプライズは複数名で行う。フラッシュモブだ。wikipediaを見てみると、「問題点」なる項目がある。読んでみると、怖いことが書いてある。見なかったことにしよう。さて予行演習だ。どう考えてもうまくいく。司会の女性も、goodですよ、みたいなこと言ってくれたし。私は選ばれし特別な人間なのだ。おお、傲慢なネトハよ……。

 

受付も兼任していたので、受付を行う。二人一組で新郎担当だ。チームプレイが要求される。私はチームプレイが不得意だ。しかし受付は華麗にこなさなければならない。それが務めというものだ。私は腕、ならびに、口を動かした。その手腕は遺憾なく発揮された。おいおい、私は特別な人間にもほどがあるだろ。傲慢なネトハめ。

 

受付は一旦終了。後輩が遅刻のため、また後で受付をやり直さないといけない。その遅れっぷりは、ウォシュレットで肛門を洗浄したあとに、えっ、まだ便が残ってたの? といわんばかりの、遅れグソっぷりだ。嘘だ。ちょっと言いすぎた。傷つかないでくれよ、もしもこれを読んでいる後輩よ。肛門と言えば、この日、友人が良い慣用句を発明してくれた。いわく、肛門は汚くないのだと。では、この世で肛門が汚くないというならば、何が汚いのか? いわく、それは「裏切り」であろうと。「裏切りは肛門より汚い」。良いことわざだ……。毎日使おう……。

 

パンパカパーンな雰囲気の元、挙式が始まる。新郎が入場する……。その姿は、戦う男だ。立派な戦士に育った。彼は漢なのだ。そしてその後、新婦が入場する……。その姿は、赴く女性だ。彼女は、戦士に寄り添う女なのだ。そして二人は結ばれる。おお、神々しきことこの上無し。シャインあふれるその眩しさよ……。

 

遅れグソの後輩のログインが終了した後、お待ちかねの披露宴が始まる。グヘヘ、料理をたんまりと食わせていただくぜ……。バカ! ネトハ! 料理がメインなんじゃないだろう。料理はサブだ。添え物だ。もちろん酒もだ。メインは、あのTAKASAGOに腰掛ける二人では無いか……。

 

漫トロ関連グループは同じテーブルに席を用意されていた。ひとりひとりにメッセージカードも書いてある。それぞれのメッセージが書かれた時の状況を想像すると、小宇宙のビッグバンが脳裏に浮かぶ。そうか、結婚式とビッグバンは、似て非なるアナルだったのか……。

 

スピーチ、乾杯のあいさつが終わり、いの一番に我々のテーブル軍団が、写真撮りにTAKASAGOに赴く。我々が最初に行かずして、だれが最初に行くのか。これは傲慢では無い。ビッグバンなのだ。わかるか。わからないだろう。俺もよくわからん。だが何はともあれ、コスモなのだ。違いねぇ。

 

おいおい、我らの友人代表が、スピーチをおっぱじめやがったぜ。半分予定調和、半分アドリブの、混合力は遺憾なく発揮され、素晴らしいスピーチと相成った。湧く会場。湧く披露宴。湧く夫婦。おいおい、”湧きパ”とはこのことかよ……。ワッキーパかよ……。

 

ケーキカットも、あったね。新婦がでっかいスプーンでケーキをえぐるのも、ベタだけど盛り上がる。この世には必要の無いベタと、必要性のあるベタとがある。今回は後者だ。ワッキーパここに極まれり。湧き湧き、湧き湧き……。

 

お色直しも? プロフィールビデオも? 我々の心臓を通り過ぎて行った。漫トロの写真がたくさんあったのは嬉しかった。その中には故人とのツーショットもあったりして、ちょっと、感極まるものがあった。名状しがたき感情がお味噌をシェイクする。

 

お色直しも終了すると、ほぉら、フラッシュモブだぜ。ゲヘヘ。狂乱する私。友人。新婦。感極まる新郎。めでたい。ワッキーパだ。うーむ、ワッキーパ言い過ぎて胃もたれしてきた。もうワッキーパとか言いません。盛り上がったとか単純に言えば良いだろう。傲慢なるネトハめ。

 

なんやかや、なんやかや。新婦友人からのお祝いVTRとかも挟みつつ、物語は終盤へ。必要性のあるベタであるところの、新婦からの手紙を読んだり。最後に新郎側からの挨拶があったり。感極まる新郎を見て、感極まる列席者たち。これこそがワッキーパなのだ。

 

おいおい、もう披露宴終わったのかよ。短すぎだろ。楽しい時間はあっという間に過ぎる。お腹も知らぬまにパンパン。「もうお腹パンパンだよォ」。そして宴は終わる。嘘だ。まだ終わらない。二次会がある。会場へと足を向ける一同。より大きな物語の渦へと、皆で侵入していくのだ。スウィート・エクスペリエンス。芳醇な日本酒で溺れよ。

 

日本酒の鏡開きから始まる二次会。半立席パーティ。パーリナイ。狂乱する一同。祝福の雄叫びが飛び交う。そこは祝いの戦場なのだ。コングラッチュレーション!! 卒業以来、顔を合わせていなかった旧知の友人や後輩たちも戦いに参加していて、こういうのも、結婚式の良いところDANE。そうじゃない?

 

始まるビンゴ。当たる私。おいおい、私は特別な人間にもほどがあるだろう。傲慢になりつつ、もらった景品はオシャンティなシャシンシュウ。同時に当たった友人は松坂牛。ほう。しかし羨ましくはないぞ。だって、食べたらなくなっちゃうもんね。牛はね。シャシンシュウは食べられないからね。食いたければ食ってみるがいい……。

 

そのあとは幹事と新郎からの余興。サプライズ込み。彼の人柄と趣味と得意分野が、錯綜そして混成し、この世で一つのシェイプ・オブ・ラブ、爆誕。ビーハッピー、フォーエバー……。

 

二次会も終わると、三次会は我らの元活動拠点へと移動。懐かしき空間。ある意味で二人の愛を育んだ場所? 本日の物語は終盤へ。率直に言って、この拠点は、綺麗な場所とは言えない。だが、それは問題では無い。ここは、古きと新しき、そして未来が折り重なる、聖なる空間。物語の終局にふさわしき環境。最後にここぞとばかりに爆発する一同。煮え滾った光景。そこにはサイコエネルギーの波動が満ち満ちていた……。

 

おめでとう、お二人。幸せそうでした。ご招待ありがとう。末長く、お幸せに。

『Horizon Zero Dawn』クリア後レビュー(シナリオのネタバレは無し)

一応クリアしました。まだそんなにやりこみ要素はやってないけど、そんなに量も無さそう。ただ、今後さらに追加される見込みはありそう。

ゲーム開始数時間の時点ではベタ誉めの勢いだったけど、一通りのストーリーを終えてみると、感想はまた違ったものになってしまった。良い点と悪い点があるオープンワールド型ゲームでした。

なお、私が今までやったオープンワールドは、スカイリム、FF15、ウィッチャー3、程度なので、この点においては比較材料はそこまで多くありません。

 

・良い点

世界観がgood。世界を蹂躙している機械獣を、民族衣装着こんだ主人公(女性)が弓を使って狩猟していく、ていう光景が、なんというか、美しい。かっこいい。

そしてその戦闘は面白い。弓で照準合わせるわけだけど、機械獣には弱点部位があって、そこに正しく当てないとあまりダメージを喰らってくれない。敵の攻撃も結構多種多様で、一撃が重い。動きも素早い。要するに、自分も相手も動き回る的当てゲームになっていて、そのアクションが単純に楽しい。ザコ相手でも油断ができないので一戦一戦が熱い。罠を設置するとか、草むらから隠れて奇襲するとか、戦略性も十分。というかそういうのを多用しないと、倒すのが厳しかったりする。ああ、ワイは今、狩猟をしとるんや、という、プリミティブ欲求が満たされる。Normalモードでも割と死ぬ。

ゲームの種別としては、昨今隆盛のオープンワールド型。機械獣がそこらの自然的風景の中で、羊のように群れている光景は新鮮だ。ただし、このあたりは良くも悪くもある。後述する。

 

・悪い点

これは人によると思うが、私にとっては、ストーリーがB級SFで、かつ欧米的価値観が強すぎた。ネタバレは避けたいので、具体的なシナリオについての言及はやめておくが、この価値観について、哲学的深みは期待できない。もう少しフランクに言うと、少々薄っぺらい。

このSF要素について、細かい部分が良く作り込まれているのは、端々から感じられるのであるが(フィールドのあっちこっちに世界の成り立ちについてのヒントが細かく散りばめられている)、なにぶん、根本的な価値観が、私に合わなかったので、「ふ〜ん」で済んでしまった。そうとなると、その細かい設定を見るのにも、次第にうんざりしてきてしまう。いくら枝葉が豊かに生い茂っていても、幹がしょぼいと、その樹木の魅力は大きく損なわれてしまうのだ。

繰り返すが、この部分は人によると思う。が、恐らく多くの日本人にとって、ちょっとした違和感くらいは持たれるんじゃないかと思う。盲目的にそれを受け入れるのはそう難しいことではないが、少なくとも「考えさせられる重厚で哲学的なストーリー」というものではない。まぁ、ハリウッド映画でよくある、地球ヤバイ、人類の叡智を持って救おう。人間サイコウ。みたいなイメージに近いものがある。

 

・良くも悪くもある点

オープンワールドの景色が、単調。どこ行っても同じような風景で、飽きる。緑の草原やら、砂漠のようなとこやら、雪山やら、もちろんいくつかの種類はあるが、この種類数との相対的にマップが広大なので、だから見飽きる。

そして主人公のキャラクター性。このゲームの前に、オープンワールドの代表作である『ウィッチャー3』をやったのも大きいが、キャラの魅力に欠いている。自分を投影するにはキャラが相対的に立っているし、物語に没入するにはキャラが相対的に立っていない。要するに中途半端な印象を、私は受けた。なんというか、ふつうの人なのだ。良くも悪くもふつう。それに比べて、『ウィッチャー』の主人公ゲラルトの、なんとキャラが立っていたことか。あいつはカッコよかった……。この物語の主人公のアーロイは強き女性である。戦う女だ。しかしそこまでカリスマ性があるようにも、カッコいいようにも、あるいは可愛いようにも、見えない。けどこの世界の他のモブ達は、みんな彼女をカリスマ的存在と見なすようになっていくのが、いささか腑に落ちなかった。お前、ちょっと戦闘力が高いだけの小娘じゃねぇか、という感じ。もちろん、物語中で唯一無二な役割は背負わされているのであるが、それでも、である。

あと、サイドクエスト。少なくもないが、多くもない程度の数。たぶん今後DLCで増えるとは思うが……。そしてこれ、また『ウィッチャー』と比較して申し訳無いが、これも一つ一つがそこまで魅力的では無い。またしても「ふ〜ん」となってしまう要素だ。たぶんこれは主人公のキャラがあまり立ってないというのも大きい。ウィッチャーのゲラルトさんは、厳しい修練の果てに絶大な能力を身につけた気高きオッサンであったが、この物語の主人公は、耳の上に運良く古代の秘密装置を付けて能力を発揮してるだけなので、それお前がすごいわけちゃうやん、となる。あなたが現代において道に迷わず目的地に辿り着けるのは、あなたの地理的把握能力が凄いわけではなく、googleマップ様が偉大だからだ。それと同じようなことだ。凄いのはその秘密道具なのだ。それで問題を解決しても、やっぱりうちらの主人公様はカッコよくてカリスマだぜ、とはあまりならない。

あと、マルチエンディングは無いです(たぶん)。選択肢が出てくる場面はちょこちょこあるが、どれ選んでも変わらない。だからこそ、根幹のストーリーはより一層重要になるのだが……。

 

・まとめ

・・戦闘は面白い。コンマ秒単位の動きで差が大きく出るので、一度戦闘が始まると、まったく画面から目を逸せない。手に汗握ると言える。

・・しかしシナリオは陳腐。作り込まれているだけに一層残念感が増す。欧米的価値観に万歳できるなら問題は無いと思うが、個人的には厳しかった。

・・キャラがいささか立っていない。

・・景色が単調。美麗ではあるけど。

 

こんなところでしょうか。あと、ゲーム音楽ですが、特に印象が残る場面は無かったです。ちょっと地味かな。壮大なボス戦音楽、とか、壮麗なフィールド音楽、とかでは無かったと思われます。

あと、寄り道しなければ、クリアにかかる時間は30時間くらいかな?

 

・最終的な評価

以上のように、個人的には色々と微妙なところはあったけど、それでも10点中で8点くらいの出来。古代民族感と機械獣との対比の絵面と、迫力の戦闘だけでそのくらいの面白さはある。アクションゲームと思えば良い。B級SFはオマケとして捉えればよろしい。

 

もしあなたが初めてオープンワールド型のゲームに手を出したいならば、まず『ウィッチャー3』をやった方が良いだろう。

ゲーム始めてすぐは『ウィッチャー3』と肩を並べられるか、と思ったが、そこまでではなかった。残念。なお『ウィッチャー3』は10点満点の超優良ゲーです。

漫トロピー⑨

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~これまでのあらすじ~

私の名はねとは。漫画を読むことに人生の意義を見出す種類の人間である。

ときは大学の3回生時。周りにはあまりその種の人間がおらず、そういう意味においては孤独を感じていた。

同好の士と知り合いたければ、大学にはサークルという素晴らしく便利なコミュニティがある。

そしてどこの大学でもそうであるように、京大にも漫研は存在していた。

しかし漫研は漫画を”描く”人たちが集まるサークル。私には適さない。

“読む”専門のサークルが無いものかと探し回ったが、結局京大には存在していなかった。

そんな折、二つの偶然が重なった。

一つは、高校の同窓生と「再会」したこと。彼はある意味において特殊な人間であった。

もう一つは、その年初めて訪れた年末のコミケで、東大の『TMR』という漫画読みサークルを「発見」したこと。

この二つの出来事と私のちょっとした思い付きがスパークした。結果、先ずは高校時代の友人に呼びかけ、自らサークルを立ち上げることと相成った。

サークルの名は『京大漫トロピー』。

これまで、その結成に至るまでの経緯を書いてきた。

以下からは、そのサークルの立ち上がりの様相、いわば<始動篇>なるものを記述していきたいと思う。

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3月5日。漫トロピー第二回の会合は、京大ルネではなく、丸太町ガストで開かれた。

皆の時間の都合で、深夜のファミレスにせざるを得なかったのだ。

当然皆ヒマな大学生なのであるが、特に忙しくもないのに結局、深夜に集合となってしまう。それがヒマな大学生の残念な特徴なのだ。

新入生もまだおらず、皆顔見知りの我々であったが、既に漫トロというサークルが興っていたからには、サークル活動として、漫画を持ち寄って漫談を行うというもの。

ガストのテーブルの上に、所狭しと漫画を積む我々一同。

その中には堂々と、快楽天や成人漫画の姿もあった(※事実として記録ノートに残っている)。

周囲を気にしないという善かれ悪しかれな漫トロの習癖が、当初から存在していたわけである。

この行動がキモいかキモくないかは、まったく、他者の判断に委ねられるし、そもそもキモいかどうかなど、問題にする必要は無いのだ。それがヒマな大学生の残念な特徴なのだ。

 

さしあたり我々は、最近読んだ漫画や、各自オススメの漫画の話などに花を咲かせた。

いま思えば、まだモヤモヤで具象化していなかったサークルの空気感を、手探りで形作ろうとしていたのだろう。けれど、それは無意識下で行われたことだった。我々はただただ、好きなことをしていただけであり、自然と収まるところには収まり、形成されるものは勝手に形成されるのだ。

そもそもサークルとして、漫画読みが「集まる」こと自体に既に意義があるのだ。

意識して同好の士として集まろうとしない限り、基本的には漫画読みは孤独な存在なのだ。

もちろん、これは漫画に限らず、様々な趣味嗜好に敷衍して言えることなのだろう。それが、コアであればあるほど。

そういうわけで、我々は顔を合わせて適当に漫画の話をする、それだけで楽しかったし、結果的に自然とサークルの雰囲気は醸成されていった気がする。

 

そんなふうに新歓の前に、サークルの具体的な活動あるいは雰囲気を形作るというのも、我々にとって大事な作業だったが、もちろん、迫りつつある4月の新歓にも目を向けなければならない時期でもあった。

さしあたって新歓で大事なことは何か? それはビラ撒きだろうと単純に考えた我々は、早速ビラを作ることにした。

 

さて、この段階でサークルのメンバーは5人だった。

一体新入生はどれだけ入ってくれるのか。そもそも一人でも入ってくれるのか。

最悪の場合、始動と同時に瓦解するのでは無いか。

いやいや、一人も入らなければ、我々だけで細々と活動していくだけのこと……。

当時は漠然とそんな風に考えていたと思う。

何はともあれ、このビラが今後を占う重要な役割を果たす!

 

しかし、入念に計算してそのビラを作成したのかというと、適当な我々がそんな緻密な行いをするわけがなく、もちろん、その場のノリで「これええやん」といった感じで、パパッと作った。往々にしてこの世の中、そういった直感が意外と成功するものだ。

どんなビラかというと、たまたまRex(※今後人名はハンドルネームを使用する)が持ち込んでいた『未来日記』のとあるコマを利用したものであった。

著作権的に微妙かもしれないので、ここではあまり詳細は語らないが、『未来日記』のヤンデレヒロインであるところの由乃ちゃんが、「殺すわよ!?」というセリフがあるコマを利用した。そこにちょいと我々が「え? 漫画読んでない?」と頭に付けてやれば、ほら、立派なビラの完成である。しかし、漫画を読んでなければ殺されるなぞ、まったく、理不尽な話この上ない。

その絵に付属して、我々メンバーのステータスとして、好きな漫画や漫画家、雑誌などを、ビラの下半分に羅列していった。会員A:アフタヌーン冬目景敷居の住人……会員B:ヤングマガジン華倫変……云々、のような感じである。

このビラは、ガストを後にしたあと、皆でRexの家に赴き、徹夜で作ったのであった。

 

《続く》

くそまんがの唄

きみはこんなこんな

くそまんがを描いてはいけないよ

 

ぼくはしってる

きみがこんなこんなくそまんがを

描きたくて描いてるのではないってことを

 

でもけっかてきにくそまんがに

なってしまっているということを

ぼくはざんねんに思わずにはいられないんだよ

 

きみはどうしてどうして

こんな雑なコマ割りをしているの

 

しっているだろうきみも

コマの形や大きさ

すべてに意味があるってことを

 

しらないはずがないだろうきみも

まんがは右から左に読むという当たり前のほうそくも

 

よのせんじんたちが

こぞってつむぎあげてきた

コマ割りのぶんかというものを

しらないはずがないだろうきみも

 

きみはどうしてどうして

マーケティングをわるいいみで意識するあまり

きぞんの作品のはりぼてをつくってしまっているの

 

しっているだろうきみも

ほんとうは自分のせかいを作りたかったんだって

 

しらないはずがないだろうきみも

あのときの夢を

いつだったかの憧れを

 

お金についていくというよりは

お金がついてくると考えるのがクリエイターだということを

しらないはずがないだろうきみも

 

だーめだよこんなくそまんが描いてちゃあ

だーめだよこんなくそまんが描いてちゃあ

 

いけないよぼくは許さないよ

知ってるんだぼくは

きみはほんとうはもっともっと

おもしろいまんがが描けるんだってことを

 

みせてくれよぼくに

くそまんがじゃない

きみの本当のまんがを

 

みたいんだぼくは

くそまんがじゃない

きみの夢と憧れのまんがを

 

ああくそまんが

ああくそまんが

 

くそったれなよのなかに

せめてまんがだけでも

くそったれであるなよ

 

ああまんがまんが

ああまんがまんが……