ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

現実的な日記13-3

聴覚に集中してみると、先ほどまで聞こえていたはずの喧騒が止んでいることに気づく。状況を鑑みるに、当たり前といえば当たり前なのだが、今の今まで、集中をしなければ気づかなかった。これも不可思議な現象だった。

しかし、全くの無音というわけではない。ゴポゴポと、まるで良く手入れされている水槽のような音がそこかしこから聞こえてくる。発生源はすぐに見当が付いた。元人間(?

)の青い柱たちである。耳を近づけて確認をしたいという衝動にかられたが、間違って触れてしまうと危ないと思い、押し留めておくことにした。

続いて嗅覚。なんとなく、何かが焼き焦げたような、若干香ばしいような、そんな匂いがする気がしたが、そもそも私は生来的に鼻が悪いので、自信が無い。気のせいかもしれない。どのみち、匂いの出どころの見当は付かないし、この件は保留しておくことにした。

味覚は飛ばすとして、最後に視覚であるが、それは見えている範囲内で、先ほどから十分承知していることである。360度、確認してみても、五本足の犬が消えていることと、青い柱があちこちに見えていること、それらのいくつかは移動を続けていること、やはりその程度しか分からなかった。

が、ふと見えていないものが一つあることに気づいた。自分が背負っているリュックである。これだけは確認していなかった。自分のものなのだから、何も異変が起きていないはず・・・と思いながらも、確認するに越したことはない。

リュックのジッパーをゆっくりと開けてみた。