ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

現実的な日記13-2

そそり立つ青色たちが動き始めた。

触れてはならない、触れられてはならない。そう直感していた私は、不規則な動きにみえるそれらにぶつからないよう、細心の注意を払い、避け続けた。最初、速度もバラバラ、方向もバラバラに、法則なしに動いているかと思ったが、ホームに列を形成しているままの青色を見て気づいた。この青色は人間の動きと変わらない。なんのことはない、現実の人間が青色の棒として反映されているだけなのだ。

だからといって、接触による危険の直感がぬぐい去られたわけでは無い。何故だろうか。青色を注意深く避けながら、考えようとしてみたが、少々思考の材料が足りないように思える。まずは五感を使って観察してみることにした。

さしあたって、触覚に集中してみた。すると、肌に触れていたはずの、夏の暑さと駅の空調が混成した、じっとりと生暖かく不快な空気が、いまや感じられないことに気づく。暑いといえば暑いのだが、なんというか、カラっとしている。こう表現するのもおかしい気もするが、空気に"ぬめり"というものがあるとして、それが無い。普段あるはずのものが無くなって、初めて存在に気づくといえば良いのか。真空を体験したことは勿論無いが、もしかしたらこのような感覚なのかもしれない。

続いて聴覚に集中してみる。