ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

バーバリアン"よしだ"

バーバリアン"よしだ"は朝目覚めてすぐ、昨日から暖めておいた脳ミソを頭蓋内に押し込んだ。押し出されるようにして、冷めた脳ミソが逆側から出てくる。ところてんのように。バーバリアン"よしだ"は、野蛮であり、不器用でもあったため、冷めた脳ミソをまたしても受け止め損ね、床に落としてしまった。ペタラッと音を立てて、脳ミソがそのブヨブヨ感を主張する。”よしだ”はそれを床から拾い上げ、乱暴に冷蔵庫の中に押し込んだ。なんたって、"よしだ"は新鮮な脳ミソと同化したのだから、古い脳ミソにはもはや愛着は無いのだ。

"よしだ"は朝のクッキングに取り掛かる。先週、オクチから拾ってきた砂糖烏の卵がまだ余っていたので、卵焼きを作ることにした。野蛮に卵を割り、かき混ぜる。隠し味として、古い脳ミソ半丁を冷蔵庫から取り出し、ナタで細かく切り刻み、卵に混ぜ込んだ。熱したフライパンにそのドロドロの粘体をぶち込み、ご機嫌にイニシエの歌を歌いながら、オレンジ色の卵焼きを作り上げた。

オクチに茂っていたドクソウを千切っただけのサラダも作り、インスタントのコーヒーを淹れ、赤茶色に染まった食卓の上に、彼にとっては申し分の無い、豪勢な朝食をこしらえた。

「ウッウッウマス。ウッウマス。ウッウッウマス。ウーウマス」

自分に言い聞かせるようにバーバリアンクッソングを歌い、いわばプラセボの調味料を味覚の周りに彩った。

バーバリアン"よしだ"の長い一日は、こうして始まった。