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ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

ドブリンゴ

ぷかぷかと、沢山のドブリンゴが銀の川の上を彷徨っている。

しゃりしゃりと、砂糖烏が熱線の上で、さっき攫ってきたばかりのドブリンゴを食い潰そうとしている。

ぎりりと、夢魔が弓を引いて砂糖烏を撃ち落そうと、大型赤ポストの陰から狙いを定めている。

けれども大型赤ポストは気まぐれに移動するのが常識。

間の悪いことに矢を放つ直前にポストが動いてしまったから、砂糖烏に気付かれてしまった。

驚愕反応を示してどろどろに溶けた烏は、熱線の上をずるずると移動していってしまった。

食後のデザートと考えていたに違いない夢魔は、とぼとぼと残念そうに川沿いの道を歩いて去ってしまった。

一連の様子を見ていた僕は、少し自分を重ねてしまい、やりきれない気持ちに囚われてしまった。

一緒にみていた彼女をちらりと見ると、彼女も何かしらの感情の機微を示しているみたいだけれど、僕のそれとは違う感情にみえた。しかしどのような感情なのかは分からない。味はわかるけれど、レシピは分からない料理のように。もしかすると、多くの人が抱いたことの無い感情なのかもしれない。彼女の病気がもたらす、特有の感情なのかもしれない。そうだとしたら、僕は彼女に共感を示すことさえできないのかもしれないし、そう考えるとますますやりきれない気持ちに囚われてしまう。

砂糖烏も夢魔も去った今、近くで動いているのは川の流れとドブリンゴだけだ。

自然と僕は銀の川に目を向けた。長い夕方はまだまだ続きそうだと思った。