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ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

漫トロピー⑩

作ったビラを配るのは4月になる。京大の場合は、健康診断の時に配るのが通例である。以降は、授業が行われる教室の机の上に置くとか、共用掲示板に張り出すとか、まぁそれくらい。

しかし、まだ時は3月。3月にできる、勧誘のタイミングとは何か。それは、合格発表である。合格した直後の新入生を勧誘するのだ。

だが普通に声をかけるだけではつまらない。というか、向こうからしたら意味がわからないだろう。合格して、おそらくは人生の中でも指折りのテンションの高さを示している彼ら彼女らに対して、突然、「漫画を読むことに興味がありますか?」と声をかけることは、突然、「神を信じますか?」と問うことと似て非なるアナル。

だから、我々はそれなりの準備をしていった。でっかいボードを作って、「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」「チャンピオン」と縦横四つに区切り、小さい丸のシールを持って行った。これだけ言えば大体お分かりだろう? 好きな漫画雑誌にシールを貼ってもらうのだ。そこから漫画についての話を発展させていけば、自然でsmoothなカンバセイション成立、間違い無い。

さて結果からいうと、特に何の成果も上がらなかった。ふつうの人間は、合格発表の場で、漫画を読むことについて意識を向けない。ふつうじゃない人間は、そうそう見つからない。当たり前の話だ。ただし、我々自身は楽しんだので、その点を鑑みるにオールオッケーだ。楽しまなくっちゃ、始まらない。そうだろう?

 

ほか、3月の間は、我々数名だけで適当に集まり、適度なサークル活動を楽しんだ。活動拠点は、生協食堂のルネだ。それぞれの好きな漫画を持ち寄って、ルネのテーブルの上にタワーを作って楽しんでいた。活動ごとにレジュメでの発表をしたりと、サークルの空気感も大体固まってきた。ちなみに、レビューされた漫画は、志村貴子放浪息子』、華倫変『カリクラ』、えすのサカエ未来日記』、近藤るるる『天からトルテ!』などだった。

計6回の活動を行い、あっという間に3月は過ぎた。さぁ、4月だ。ビラ配りだ。そして待望の新歓だ! 

 

予定通り、ビラは健康診断のときに配った。京大以外では、京女(京都女子大学)にも配りに行った。京大だけで配ったら、恐らく男の比率が並々ならぬ高さになることが容易に予測できたからだ。オタクサークルの宿命の想像ができないほど我々は馬鹿では無い。華が欲しいのは当然としても、男だけだと、どうしても読む漫画の多様性に欠けるので、ある程度の女性数は確保したいと思ったのだ。4月1日は京女に赴き、4月2日~4月4日は京大でビラ配りを行った。

それで、入学式は4月7日なのだが、なんと、その入学式前の4月4日の例会に新歓に来てくれた超有望株の新入生がいた。しかも2人も。こいつは予想外だった。男と女だ。アダムとイヴか? さぁ、彼と彼女の話に入ろうでは無いか。入学式の前に来るなど、ただ者では無い。その特異性を、とくと拝見といこうではないか……。

 

《続く》