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NieR:Automata [ニーアオートマタ] レビュー (シナリオのネタバレ無し)

綺麗なお姉さんのお尻は好きですか? その答えが「はい」でも「いいえ」でも、多くのあなた方は『ニーアオートマタ』をプレイした方が良いだろう。ドチャクソに面白かった。どのくらい面白かったかというと、「これほどまでに卑しいわたくしめごときがこんな素晴らしきゲームを楽しんで良いのでしょうか、アーメン」と膝をついて涙を流しながらスクエアエニックス本社ビルに向かってお祈りを捧げたくなる程度には面白かった。10点満点中、10点。さぁ、哀れなる未プレイのあなた方に対して、ネタバレを控えた範囲内で、このゲームの素晴らしさを語りかけて差し上げよう……。

発売日は2017年2月23日だから、今で発売後約一ヶ月くらい、割と出来立てホヤホヤだ。なぜ冒頭でお尻を持ち出したかというと、もちろんネットで主人公のお尻がバズっていたからだ。皆さん、とっくにご存知なんだろう? この辺りも含めて、要素ごとにレビューしていく。

 

・キャラ

兎にも角にも、キャラが立っている。主人公は、アンドロイドだ。女性型の「2B」を我々は操作することになるのだが、まずは画像検索でも公式ページでも何でも良いから、その造形を見てみて欲しい。

謎の眼帯と、女性性を絶妙に強調した黒の衣装。誰だよ?このデザインを編み出したやつは。グッドデザイン賞でも何でも良いから、良さげな賞を見繕って進呈して差し上げなさい。バズった尻は、その黒のスカートの下から白のレオタードとしてチラチラと見えており、ある種の神々しさすら放っている。そんなお色気要素を除いても、単純に衣装としてカッコイイし可愛い。たまに眼帯が外れるシーンがあるが、当然、美少女だ。程よくリアリスティックかつ、程よくアニメチックな、日本人が憧れる、クールな西洋顔。顔も衣装もスタイルも含めた造形の点数・・・それは、100ポインツ!

キャラ(性格)はどうだろうか? それも最高。クールでカッコよくて意外と大雑把。そして、"ツンデレ"から派生した、連綿と続く、キャラの樹形図の先端に位置する、もはやツンデレを乗り越えた先にある、何か。アンドロイドではあるが、そこには愛らしい人間性が芽吹いている。ツンとデレのギャップというよりは、ロボティックとヒューマニックのギャップとでも表現すれば良いのか。

ついこの前、『Horizon Zero Dawn』の主人公のキャラ立ちがイマイチという記事を書いたばかりだが、あの彼女とこの彼女の魅力の差は歴然。雲泥の差とはこのこと。

我々は漏れなく、この女性型アンドロイド「2B」を愛することになるだろう。そしてそのキャラクターを動かす喜びに震えることになるだろう。

 

・BGM

こちらも、サイのコウ。誇張抜きに、ゲーム中に流れるほとんどの音楽が素晴らしい。ビルの廃墟街で流れる、静謐で澄んだ、かつ切なさも入り混じった曲をはじめ、主人公が訪れる様々なエリアの雰囲気に見合った、美しい音楽の数々。戦闘のBGMも、単純にテンションが高いわけではなく、どことなく悲壮感が漂っており、やはり素晴らしい。ストーリーがストーリーだけに、全編通してかなり切ない空気が漂っているのだが、その雰囲気と音楽とのマリアージュは実に抜群。

私も今やいい大人になってしまったが、ふと、どこかから漂う謎の懐かしい匂いで、子供の頃の思い出が唐突に蘇ったりする。それは嗅覚を司る脳領域と、記憶を司る脳領域とが近い場所にあるから起こるのだ、という説があるが、それはともかく、ゲームには匂いは無い。しかしゲームには音楽がある。音楽を聴いたら、昔のゲームプレイの記憶が蘇ってくる。たとえば「ビッグブリッヂの死闘」を聞けば、ギルガメッシュのシーンが頭に浮かんだりする(FF5)。何が言いたいかというと、とにかくゲーム中のBGMは、非常に大事な要素だということだ。そして『ニーアオートマタ』は間違いなくその水準をクリアしている。それも非常に高いレベルで。エンディングが終わった直後、迷わず私はサントラの予約注文をした。ちなみにあと数日で発売するようです。

 

・シナリオ

ネタバレするわけにはいかないので、微妙な範囲内でお伝えするが、もちろん、これまた素晴らしかった。エイリアンが放った機械生命体により、月に追いやられた人類が、地球を奪還するため、戦闘型アンドロイド(主人公はその一人だ)を投入するという設定だが、この時点で既に何とも悲壮感が漂っている。ゲームを進めていくと、徐々にさらなる事実が明らかになっていくわけだが、それがもう、ゴニョゴニョ。

これは言っても大丈夫と思うので言うが、本ゲームはマルチエンディングであり、主要なエンディングはA〜Eの5つある。その5つを見ることによって、初めてこのゲームをクリアしたと言えるだろうし、言い換えれば、その5つを見ないと買った意味が無い。恐らく、このゲームのメインテーマの1つとして「自我」というものがあると思われるが、なかなかに考えさせられるものはある。既存のSFで使い古されているテーマかもしれないが、主人公のアンドロイドを自分で操作することにより、初めて感ぜられる体験だとも言える。これが、ゲームの良いところだ。

 

オープンワールド

いちおう、オープンワールドと謳われているが、さして広大では無い。ちょっと頑張れば、チャリで回れるレベル(もちろんこのゲームにチャリは出てきません)。けれど、また「Horizon Zero Dawn」を引き合いに出して申し訳無いが、あちらは、広大だけれど風景の面白みに欠けていた。しかし本ゲームは、相対的に狭いながらも、どこに行っても風景の魅力に溢れていた。自然+廃墟=最高。まぁ、私が廃墟好きというのもあるかもしれないが、結構、皆さん、廃墟、好きでしょう? もしそうなら、エリア内を走り回っているだけでも楽しめると思う。

 

・戦闘/ゲーム性

これも良い。まず、通常時の戦闘も、なかなかの爽快感。「ポッド」のレーザー砲をR1ボタンを押しっぱなしで放ちつつ、□や△ボタンで剣を振るい、R2ボタンで回避行動を取り、ジャンプも二段ジャンプできるし空中ダッシュもできるしで、ちょうどいい加減で集中して楽しめるので、気持ち良いものがある。ボス戦も、それぞれのボスで個性的なギミックの攻撃を放ってくるので、立体的にタイミングよく避けながら、隙を発見して狙う、というアクションの伝統的な醍醐味は十分に味わえる。

そして、ボス戦で挟まれる演出。ネタバレは控えるのであまり言えないが、このシナリオの設定をうまく取り入れた、様々な画期的な演出が出てくる。これには膝を打った。ある意味衝撃的で、非常に盛り上がる。個人的には中盤にある死闘と、終盤で使われるとある仕掛けには、心から凄いと思った。もちろん、ゲーム中のテンションは爆上がりだし、こうしてこの記事を書いている今でも、そのバトルとBGMが頭に浮かんでくる。

飽きさせず、新鮮で、エンターテイメント性に溢れ、それでいて必然性も伴った、絶妙な演出だ。

 

・まとめ

ちょっと欠点が見当たらない。強いて言えば、ザコがいささか固くて面倒になることがある、くらいか。とにかく、上に書いたような、キャラ・世界観・シナリオ・音楽・演出、その全てが有機的に結びつき、堅牢なる強度を誇った傑作『ニーアオートマタ』が此の度、爆誕したのだ。

様々な要素がフックになり得る。別にお姉ちゃんのお尻から入っても良いし、カッコいいキャラを操作したいでも、廃墟好きでも、ゲーム音楽好きでも良いだろう。ちょいと手をつけたら、グイグイとストーリーの中に押し込まれ、これぞゲームだ!といわんばかりの体験をさせられることになるだろう。

ちょっとでもアクションゲームが好きなら、買って損は無いのではないだろうか。あと、そういえばこのゲームは『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』の続編にあたるが、私は前作をプレイしていない。多分、プレイ済みならより一層楽しめるのだろうが、これ単体でも十分楽しめるはずだ。さて、私は今からメッカ(スクエニ本社)に向かって祈りを捧げるから、その間にみんなは購入の検討に入りなさいな。