灰色
紫色で照らされた肌が妖しく光り、僕を見て強烈な笑顔を形作る。
その視線は僕の中のすべてを見通すようで、身体が熱い。
灰色の自転車を引き連れて歩き出す。でもどうして。自転車を僕と君との間に挟むの。
きっとそのもどかしさを、君は味わっているんだろう。それは性へと向かい、糸を引くのだろうか。
そうだったらいいな、と願う僕すらも、君は射抜くのかしら。
ふと自転車を止めた君は、もう一度僕を見る。
ああ、世界を包み込む紫と、君が放つ紫の織りなすパターンは、今ここにしか無い。
邪悪な微笑みを浮かべて君は僕の横へ回り込む。なんだ、やっぱり君は操作性の騎手なんだね。それって、ずるい。
しかも僕の鼻先に指を押し付けるものだから、ますます悪いことをする。
どうして、と尋ねると、君はわざと間を置く。直感なのか計算なのか、知る術は無い。
凍結した夕方には、時の限界が無い。
やっと答えたかと思うと、わかってるくせに、と横目で言ってのける君は、どうしたって、ずるい。
そんなもどかしさを抱えながら、まだ銀色の川辺を歩き続ける。