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現実と想像とマンガ

ねとはとは何なのか①

本ブログを運営している、ねとはとは何者なのか。

今回、たまたま道端で出会った、モンキー・クリストファー・ジョンソン伯爵にインタビューをして頂く機会があったので、その記録を掲載させて頂く。

モンキー伯爵は、関西のとあるセントラルキッチンにて、猿の手足を切り刻む仕事を営んでいるという。もちろん申年生まれであるという伯爵の腕は毛むくじゃらで、その上一本一本の毛がものすごい太さだった。遠くから見ると、腕だけが真っ黒に見えるくらいだ。真冬だというのに袖をめくっているあたり、本人も誇りに思っているのだろう。しかし、腕以外にはほとんど毛が生えておらず、そのことをコンプレックスに思っているということを、後に詳細に語ってくれた。もちろん髪の毛も一本も無く、ハゲている。眉毛すら無い。幼少期にも遡るエピソードも繰り広げて頂いたが、しかしこのことは今回のインタビューとは全く関係ないので、割愛させて頂く。

それでは以下に、私とモンキー伯爵との会話の記録を掲載する。

 

ねとは(以下私):本日はお寒い中、突然道端で私に興味をお持ち頂いて恐縮です。しかしその格好、寒くないですか?

モンキー伯爵(以下お猿):全く寒くないですね。なにせ、腕全体がカイロみたいなものですから。突如、あなたに興味を持ったのは、そう、夢の中で出会ったことがあるからです。覚えていないですか?

私:(やや警戒しながら)そういえば、そんな気もしないでもないですね。しかし、夢の記憶というものは曖昧なものですから、あまり、僕としては自信がありません。

 

(注1:突然見知らぬ相手が非現実的な話をさも現実的に話し始めた時には注意をした方が良い。この時点で私は警戒度をかなり上げ、できる限り相手を刺激しないよう、否定も肯定もしないように努めた。もしもここで対応を誤っていたら、現在私はこのような記事を平穏に書くことはできていなかったかもしれない。)

 

お猿:そうですか、それは残念です。夢の中のあなたは、ビルの屋上の畑の中で毛むくじゃらの大根を一所懸命引き抜こうとしながら私の眼を・・・いえ、この話は今度にしておきましょうか。それでは、インタビューに移ろうと思います。よろしくお願いします。

私:(少しずつ警戒度を下げながら)どうぞよろしくお願い致します。

お猿:まず、「ねとは」という名前の由来を教えて下さい。

私:Nethackというローグライクゲームをご存知でしょうか? コンピューターの黎明期から存在していたRPGの元祖ともいうべきゲームの種別で、トルネコの大冒険風来のシレン、といった不思議のダンジョン系のゲームに、現在は特に色濃く受け継がれています。日本ではその翻訳版としてJNethackという名称で、一部のユーザーに深く親しまれております。独特の翻訳文も特徴で、例えば「どっくりびんきーと書かれた巻物」とか、ユーモアに溢れたアイテムが登場するなど・・・

お猿:(やや不機嫌な口調で)ねとはさん、ここで立場を改めて明確にした方が良さそうですね。私は質問する側、あなたはされる側です。私はあなたの上位に立っています。私の興味の惹かない物事を、長々と喋られると、私としても・・・

 

(注2:ここで私は再び警戒度を上昇させた。今度は最大限に。完全に油断してしまっていた。この伯爵は、何を考えているのか全くわからない。少なくとも表情から読み取ることは困難である。分かっていることは、たまたま同じ道を歩いていたということと、セントラルキッチンで猿の四肢を切り刻んでいるということくらいである。その話も嘘か本当か分からない。猿ではなく、人間を切り刻んでいる可能性すらある。そもそも、名前がモンキーなのだから、猿equal人間と考えていても不思議ではないのだ。そういえば、この伯爵は、腕は見せているものの、胴体はかなりゆったりとした服装をしている。相手がゆたりした格好してる時は、何か隠し持てること疑うのが常識ね、的な警告をハンターハンターでも見た覚えがある。これは現実世界でも通用する話である。この文章を読んでいる皆さんも、このことを覚えておいた方が良いかもしれない)

 

私:すみません伯爵、少し、調子に乗りすぎました。ねとはという名前は、ともかくNethackというゲームが好きだったため、そこから拝借したのです。

お猿:始めからそう言って下されば良いんですよ。それでは質問を続けましょうか。あなたは何者ですか?

 

(注3:質問の仕方は、大きく二つに分類される。オープンクエスチョンと、クローズドクエスチョンだ。先ほどの、名前の由来についての質問はどちらかというと後者に近い。最もクローズドな質問は、yesかnoかで答えられる質問となるだろう。一方、前者は、開かれた質問として、様々な答えが期待できる反面、答える側にとっても難しい。何でも答えられるが、逆に何を答えて良いのか分からないという場合がある。質問者は、このオープンとクローズドを意識的に使い分けながら、話題を誘導していく。そして突然のこの伯爵の極めてオープンなクエスチョンは、かなり厳しい一手であった。まだ一触即発な状況が続いている、このタイミングでは特にだ。しかも、長考すらも相手を刺激させかねない。少ない秒数で、できる限り無難な答えを私は導き出そうとした)

 

私:私は・・・・・・私は、他者に無害であろうと努めている人間です。基本的に争いは好みません。しかし、自分の身に危険が降り掛かろうとしている場合は、やむなく反撃する場合もあるでしょう。こういった点では、多くの人間と共通しているのかもしれません(ここで私は様子を伺うと、伯爵はうなずいていた。やはり表情から読み取るのは難しいが、今の所は刺激は避けられているようだ。私は話を続けることにした)。さしあたって、私はあなたとの一期一会たる奇跡的な出会いに、感謝しています。突然道端でインタビューを受けることなど、人生では滅多にあることでは無い。TVカメラが回っているわけでもない。人通りも少なく、右側は道路、左側は無人の駐車場。目の前には、あなた1人。客観的に見ると、お互いがお互いを警戒していてもおかしくない状況です。しかし私はあなたを信頼しています。あなたから醸し出されるオーラが私の第六感を刺激し、安心感を与えてくれているのです。そしてあなたも私のことを信頼してくれていることを、期待しています。

 

(注4:私は喋りながら考え、考えながら喋った。考えてみれば、私自身もゆたりした格好をしていたのだ。もしかしたら相手も私を警戒している可能性に思い至り、部分的に正直に私の気持ちをオープンにし、相手に安心感を与えるように努めた。そしてその試みは、ある程度成功したようだった)

 

お猿:(何度もうなずきながら)・・・ありがとうございます。私も正直にお話ししますと、少しあなたを警戒していました。本当に、夢の中で出会ったのは、あなただったのかと。もちろん大根は私の男根のメタファー・・・いえ、この話はまた今度にしましょう。ともかく、あなたのことを疑うべきではなかった。心から反省します。

私:とんでもないことです。

お猿:いいえ。私は私のことしか考えていなかったのかもしれません。お察しの通り、私の黒腕からはマグマのように熱が滾っています。少々話が逸れますが、両腕から生えているこの毛、一本一本は、私の大事な体の一部で、例えば、この毛の一本が抜け落ちてしまっても、私はどこまでも追跡することができます。もっとも、一本一本が強固に私の体に根を張っているので、簡単には抜け落ちませんが・・・。ともかく、あなたは私のような毛をお持ちで無い。お寒いことでしょう。どこか、喫茶店にでも入りましょうか。あそこにスターバックスが見えます。そこでインタビューを続けることにしましょう。

私:お気遣い感謝致します。お互い、腰を落ち着けることで、もう少し砕けた話ができるかもしれませんし、その提案には同意致します。スターバックスに向かいましょう。

 

(注5:私はこの時点で再び油断してしまっていたらしい。伯爵の恐ろしい謀略にこの時点では全く気付けていなかったのだった)