ねとねとねとはのねとねと日記

現実と想像とマンガ

漫トロピー⑪

4月4日。一番最初に新入生が来てくれた日だから、当時のことは比較的鮮明に記憶に残っている。

私と渡来僧天国(HN)とで出町柳駅まで、事前に連絡をくれていた一人の女性を迎えに行き、当時の活動拠点であった「ルネ」に戻った。すると、わんだ(HN)と見知らぬ一人の男性が既に話し込んでいるではないか。だから、どちらが一番乗りと言えるかは分からないが、ほとんど同時に、出現したのだ。「出現」。そう、「出現」としか言いようがなかった。

まずその女性は、後々のHNとして「ガチムチ山」を名乗ることになる、京都女子大学生。男性の方は「さなさぎ」と名乗る、京都大学生。もう一度言うが、入学式もまだなのに、真っ先に我々の得体の知れないサークルに来てくれたのだ。その時点で只者では無いし、会話を進めると、やはり只者では無いことが分かってきた。

 

ここで話は逸れるが、僕は某学部の某運動部にも1回生のころから所属していた。そちらでの新歓は、話題を展開するのが(僕にとって)少々苦手だったことを覚えている。部活やサークルでの新歓を経験したことのある方ならなんとなく分かっていただけると思うが、最初はどうしても当たり障りの無い、うすい質問にならざるを得ない。たとえば「どこ出身なの?」というテンプレートな質問。

「へぇ、そこ出身なの、そこ出身といえばあの先輩もそこ出身なんだよ。そこ出身ということは、◯◯があるところだよね……」みたいな会話は僕にとっては心底どうでもよかった。率直に言って、僕は基本的に他人への関心が薄い。

こんな話を聞いたことがある。いわく、オタクは、趣味などの物事を通じて人と仲良くなるが、それ以外の大多数の人間は、「人間関係」の話題を大切にして仲良くなっていくのだという。もしそうであれば、僕は間違いなく前者にあたるし、後者の気持ちはあまりよく分からない。まぁ、そもそもオタクというのは程度の差はあれども、Autism Spectrum Disorderの要素を含んでいることが多いし(たぶん)、僕自身もある程度のSpectrumの位置にあることは自覚している。そう考えると、腑に落ちる。

 

話を戻すと、漫トロの新歓は話題を展開するのが、なんともたやすい。もちろんこの質問から始めれば良い。「何の漫画が好きなの?」と。漫画という趣味を経由した話題の展開。我々の奇特なビラをみて、我々の新歓に足を運んでいる時点で、漫画を読むことを趣味としている人間が来るのは、まず間違いが無い。「大学でテニスを始めてみない? 楽器を始めてみない?」はあっても、「漫画を読むのを始めてみない?」はまず無い。ルネで我々と共にテーブルを囲んでいる時点で、既に漫画読みオタクであることは分かりきっているのだ。だから、好きな漫画の話を広げていけば、こちらとしても、新入生としても、簡単に楽しく会話ができる。仮に好きな漫画のジャンルが偏っていても、たいてい、我々5人の同級生メンバーの誰かの守備範囲には入っているし、あるいは誰も知らなくても、「今度読んでみるからどんな漫画なのか教えて」と話を広げることもできる。こういうところがオタクサークルの強みと言えるのかもしれない。そして、そもそも、こういう会話をすることが、僕がサークルを立ち上げようと思った第一の理由なのだ。何回でも言うが、基本的には漫画読みは「漫画読みとしては」孤独なのだ。

 

まだ新入生の男女の特異性について触れていなかった。彼と彼女はもちろん、漫画読みだった。それぞれに、こだわりの漫画のジャンルはあったが、それについては、さしあたって置いておこう。

その日はまず女性の方から、1つの学びを頂いた。絶対領域という言葉がある。女の子のミニスカートとニーハイソックスの間に見える太ももがその領域に該当するが、男性にも絶対領域が存在するという。それは、手袋をした手とシャツの間から見える、腕の先の領域なのだと。いまググれば、数年前にネット上でバズったことがわかったが、10年近く前の当時としては多分新しい知見だったんじゃないかと思う。腐女子に該当する彼女からは、いろいろと我々男性オタクにとっては新鮮な話が次々と出て、大変興味深かったのを覚えている。

そして男性。話の流れから、何故か幼女についての話題にいつの間にかなっていたのだが、そこから、彼が大学の履修科目としての第二外国語で、難関のロシア語を選択しようと思っているという話が出てきた。なぜそんなことをするかというと、彼はロシアの幼女について、ある意味において興味津々だからだという。理由はそれ以外には全く無かったようで、彼の性癖への真摯な向き合い方には一同感心させられたのを覚えている。よこしまな理由という言葉は、こういう時に使うのかもしれない。

 

彼・さなさぎと、彼女・ガチムチ山は、以来、毎週訪れてくれた。きっと、我々が3月に醸成したサークルの雰囲気を気に入ってくれたのだろうと思うと、とても嬉しかった。誰も来てくれない可能性も想像していたので、ホッと胸をなでおろしたのを覚えているし、同時に、これから本当にサークルとしてしっかりやっていかなければいけないのだろうな、という、ある種の責任感から、気概が掻き立てられたのも覚えている。

 

そして、入学式後の初の例会である4月11日。当時の我々にとっては、またしても驚きの展開を迎えることになる。

 

《続く》

漫トロピー⑩

作ったビラを配るのは4月になる。京大の場合は、健康診断の時に配るのが通例である。以降は、授業が行われる教室の机の上に置くとか、共用掲示板に張り出すとか、まぁそれくらい。

しかし、まだ時は3月。3月にできる、勧誘のタイミングとは何か。それは、合格発表である。合格した直後の新入生を勧誘するのだ。

だが普通に声をかけるだけではつまらない。というか、向こうからしたら意味がわからないだろう。合格して、おそらくは人生の中でも指折りのテンションの高さを示している彼ら彼女らに対して、突然、「漫画を読むことに興味がありますか?」と声をかけることは、突然、「神を信じますか?」と問うことと似て非なるアナル。

だから、我々はそれなりの準備をしていった。でっかいボードを作って、「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」「チャンピオン」と縦横四つに区切り、小さい丸のシールを持って行った。これだけ言えば大体お分かりだろう? 好きな漫画雑誌にシールを貼ってもらうのだ。そこから漫画についての話を発展させていけば、自然でsmoothなカンバセイション成立、間違い無い。

さて結果からいうと、特に何の成果も上がらなかった。ふつうの人間は、合格発表の場で、漫画を読むことについて意識を向けない。ふつうじゃない人間は、そうそう見つからない。当たり前の話だ。ただし、我々自身は楽しんだので、その点を鑑みるにオールオッケーだ。楽しまなくっちゃ、始まらない。そうだろう?

 

ほか、3月の間は、我々数名だけで適当に集まり、適度なサークル活動を楽しんだ。活動拠点は、生協食堂のルネだ。それぞれの好きな漫画を持ち寄って、ルネのテーブルの上にタワーを作って楽しんでいた。活動ごとにレジュメでの発表をしたりと、サークルの空気感も大体固まってきた。ちなみに、レビューされた漫画は、志村貴子放浪息子』、華倫変『カリクラ』、えすのサカエ未来日記』、近藤るるる『天からトルテ!』などだった。

計6回の活動を行い、あっという間に3月は過ぎた。さぁ、4月だ。ビラ配りだ。そして待望の新歓だ! 

 

予定通り、ビラは健康診断のときに配った。京大以外では、京女(京都女子大学)にも配りに行った。京大だけで配ったら、恐らく男の比率が並々ならぬ高さになることが容易に予測できたからだ。オタクサークルの宿命の想像ができないほど我々は馬鹿では無い。華が欲しいのは当然としても、男だけだと、どうしても読む漫画の多様性に欠けるので、ある程度の女性数は確保したいと思ったのだ。4月1日は京女に赴き、4月2日~4月4日は京大でビラ配りを行った。

それで、入学式は4月7日なのだが、なんと、その入学式前の4月4日の例会に新歓に来てくれた超有望株の新入生がいた。しかも2人も。こいつは予想外だった。男と女だ。アダムとイヴか? さぁ、彼と彼女の話に入ろうでは無いか。入学式の前に来るなど、ただ者では無い。その特異性を、とくと拝見といこうではないか……。

 

《続く》

 

NieR:Automata [ニーアオートマタ] レビュー (シナリオのネタバレ無し)

綺麗なお姉さんのお尻は好きですか? その答えが「はい」でも「いいえ」でも、多くのあなた方は『ニーアオートマタ』をプレイした方が良いだろう。ドチャクソに面白かった。どのくらい面白かったかというと、「これほどまでに卑しいわたくしめごときがこんな素晴らしきゲームを楽しんで良いのでしょうか、アーメン」と膝をついて涙を流しながらスクエアエニックス本社ビルに向かってお祈りを捧げたくなる程度には面白かった。10点満点中、10点。さぁ、哀れなる未プレイのあなた方に対して、ネタバレを控えた範囲内で、このゲームの素晴らしさを語りかけて差し上げよう……。

発売日は2017年2月23日だから、今で発売後約一ヶ月くらい、割と出来立てホヤホヤだ。なぜ冒頭でお尻を持ち出したかというと、もちろんネットで主人公のお尻がバズっていたからだ。皆さん、とっくにご存知なんだろう? この辺りも含めて、要素ごとにレビューしていく。

 

・キャラ

兎にも角にも、キャラが立っている。主人公は、アンドロイドだ。女性型の「2B」を我々は操作することになるのだが、まずは画像検索でも公式ページでも何でも良いから、その造形を見てみて欲しい。

謎の眼帯と、女性性を絶妙に強調した黒の衣装。誰だよ?このデザインを編み出したやつは。グッドデザイン賞でも何でも良いから、良さげな賞を見繕って進呈して差し上げなさい。バズった尻は、その黒のスカートの下から白のレオタードとしてチラチラと見えており、ある種の神々しさすら放っている。そんなお色気要素を除いても、単純に衣装としてカッコイイし可愛い。たまに眼帯が外れるシーンがあるが、当然、美少女だ。程よくリアリスティックかつ、程よくアニメチックな、日本人が憧れる、クールな西洋顔。顔も衣装もスタイルも含めた造形の点数・・・それは、100ポインツ!

キャラ(性格)はどうだろうか? それも最高。クールでカッコよくて意外と大雑把。そして、"ツンデレ"から派生した、連綿と続く、キャラの樹形図の先端に位置する、もはやツンデレを乗り越えた先にある、何か。アンドロイドではあるが、そこには愛らしい人間性が芽吹いている。ツンとデレのギャップというよりは、ロボティックとヒューマニックのギャップとでも表現すれば良いのか。

ついこの前、『Horizon Zero Dawn』の主人公のキャラ立ちがイマイチという記事を書いたばかりだが、あの彼女とこの彼女の魅力の差は歴然。雲泥の差とはこのこと。

我々は漏れなく、この女性型アンドロイド「2B」を愛することになるだろう。そしてそのキャラクターを動かす喜びに震えることになるだろう。

 

・BGM

こちらも、サイのコウ。誇張抜きに、ゲーム中に流れるほとんどの音楽が素晴らしい。ビルの廃墟街で流れる、静謐で澄んだ、かつ切なさも入り混じった曲をはじめ、主人公が訪れる様々なエリアの雰囲気に見合った、美しい音楽の数々。戦闘のBGMも、単純にテンションが高いわけではなく、どことなく悲壮感が漂っており、やはり素晴らしい。ストーリーがストーリーだけに、全編通してかなり切ない空気が漂っているのだが、その雰囲気と音楽とのマリアージュは実に抜群。

私も今やいい大人になってしまったが、ふと、どこかから漂う謎の懐かしい匂いで、子供の頃の思い出が唐突に蘇ったりする。それは嗅覚を司る脳領域と、記憶を司る脳領域とが近い場所にあるから起こるのだ、という説があるが、それはともかく、ゲームには匂いは無い。しかしゲームには音楽がある。音楽を聴いたら、昔のゲームプレイの記憶が蘇ってくる。たとえば「ビッグブリッヂの死闘」を聞けば、ギルガメッシュのシーンが頭に浮かんだりする(FF5)。何が言いたいかというと、とにかくゲーム中のBGMは、非常に大事な要素だということだ。そして『ニーアオートマタ』は間違いなくその水準をクリアしている。それも非常に高いレベルで。エンディングが終わった直後、迷わず私はサントラの予約注文をした。ちなみにあと数日で発売するようです。

 

・シナリオ

ネタバレするわけにはいかないので、微妙な範囲内でお伝えするが、もちろん、これまた素晴らしかった。エイリアンが放った機械生命体により、月に追いやられた人類が、地球を奪還するため、戦闘型アンドロイド(主人公はその一人だ)を投入するという設定だが、この時点で既に何とも悲壮感が漂っている。ゲームを進めていくと、徐々にさらなる事実が明らかになっていくわけだが、それがもう、ゴニョゴニョ。

これは言っても大丈夫と思うので言うが、本ゲームはマルチエンディングであり、主要なエンディングはA〜Eの5つある。その5つを見ることによって、初めてこのゲームをクリアしたと言えるだろうし、言い換えれば、その5つを見ないと買った意味が無い。恐らく、このゲームのメインテーマの1つとして「自我」というものがあると思われるが、なかなかに考えさせられるものはある。既存のSFで使い古されているテーマかもしれないが、主人公のアンドロイドを自分で操作することにより、初めて感ぜられる体験だとも言える。これが、ゲームの良いところだ。

 

オープンワールド

いちおう、オープンワールドと謳われているが、さして広大では無い。ちょっと頑張れば、チャリで回れるレベル(もちろんこのゲームにチャリは出てきません)。けれど、また「Horizon Zero Dawn」を引き合いに出して申し訳無いが、あちらは、広大だけれど風景の面白みに欠けていた。しかし本ゲームは、相対的に狭いながらも、どこに行っても風景の魅力に溢れていた。自然+廃墟=最高。まぁ、私が廃墟好きというのもあるかもしれないが、結構、皆さん、廃墟、好きでしょう? もしそうなら、エリア内を走り回っているだけでも楽しめると思う。

 

・戦闘/ゲーム性

これも良い。まず、通常時の戦闘も、なかなかの爽快感。「ポッド」のレーザー砲をR1ボタンを押しっぱなしで放ちつつ、□や△ボタンで剣を振るい、R2ボタンで回避行動を取り、ジャンプも二段ジャンプできるし空中ダッシュもできるしで、ちょうどいい加減で集中して楽しめるので、気持ち良いものがある。ボス戦も、それぞれのボスで個性的なギミックの攻撃を放ってくるので、立体的にタイミングよく避けながら、隙を発見して狙う、というアクションの伝統的な醍醐味は十分に味わえる。

そして、ボス戦で挟まれる演出。ネタバレは控えるのであまり言えないが、このシナリオの設定をうまく取り入れた、様々な画期的な演出が出てくる。これには膝を打った。ある意味衝撃的で、非常に盛り上がる。個人的には中盤にある死闘と、終盤で使われるとある仕掛けには、心から凄いと思った。もちろん、ゲーム中のテンションは爆上がりだし、こうしてこの記事を書いている今でも、そのバトルとBGMが頭に浮かんでくる。

飽きさせず、新鮮で、エンターテイメント性に溢れ、それでいて必然性も伴った、絶妙な演出だ。

 

・まとめ

ちょっと欠点が見当たらない。強いて言えば、ザコがいささか固くて面倒になることがある、くらいか。とにかく、上に書いたような、キャラ・世界観・シナリオ・音楽・演出、その全てが有機的に結びつき、堅牢なる強度を誇った傑作『ニーアオートマタ』が此の度、爆誕したのだ。

様々な要素がフックになり得る。別にお姉ちゃんのお尻から入っても良いし、カッコいいキャラを操作したいでも、廃墟好きでも、ゲーム音楽好きでも良いだろう。ちょいと手をつけたら、グイグイとストーリーの中に押し込まれ、これぞゲームだ!といわんばかりの体験をさせられることになるだろう。

ちょっとでもアクションゲームが好きなら、買って損は無いのではないだろうか。あと、そういえばこのゲームは『ニーアレプリカント/ゲシュタルト』の続編にあたるが、私は前作をプレイしていない。多分、プレイ済みならより一層楽しめるのだろうが、これ単体でも十分楽しめるはずだ。さて、私は今からメッカ(スクエニ本社)に向かって祈りを捧げるから、その間にみんなは購入の検討に入りなさいな。

 

 

 

 

現実的な日記8

!! caution !!

本日の現実的な日記は、いつもの現実的な日記と比較し、より現実的な日記になっています。普段の現実的な日記をご所望であれば、尻尾と尻を振りながら脱兎のごとく逃げるが良い。。。ここは記録の場。アーカイブ・スペース。

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昨日は出席したのさ。結婚式にさ。良く知ってる二人だったのさ。なんせ、漫トロの申し子たちだからさ……。いろんな感情が揺り動かされたさ。お味噌シェイクシェイクよ。さぁ、問題の無い範囲内で事実を書こうじゃないか。

 

朝起きる。当たり前だ。起きない朝など無い。嘘だ。朝起きない時もある。しかし昨日は朝起きた。我々はサプライズをする必要があった。そのリハーサルもあるので、早めに式場へと足を向けた。道中は電車だ。そして私は白いネクタイに白いハンカチのイデタチだ。どこからどうみても、冠婚葬祭のコンに当たる姿だ。車内に他にそんな姿の人間はいない。私は選ばれし特別な人間なのだ。おお、傲慢なネトハよ……・

 

会場に着いた。サプライズは複数名で行う。フラッシュモブだ。wikipediaを見てみると、「問題点」なる項目がある。読んでみると、怖いことが書いてある。見なかったことにしよう。さて予行演習だ。どう考えてもうまくいく。司会の女性も、goodですよ、みたいなこと言ってくれたし。私は選ばれし特別な人間なのだ。おお、傲慢なネトハよ……。

 

受付も兼任していたので、受付を行う。二人一組で新郎担当だ。チームプレイが要求される。私はチームプレイが不得意だ。しかし受付は華麗にこなさなければならない。それが務めというものだ。私は腕、ならびに、口を動かした。その手腕は遺憾なく発揮された。おいおい、私は特別な人間にもほどがあるだろ。傲慢なネトハめ。

 

受付は一旦終了。後輩が遅刻のため、また後で受付をやり直さないといけない。その遅れっぷりは、ウォシュレットで肛門を洗浄したあとに、えっ、まだ便が残ってたの? といわんばかりの、遅れグソっぷりだ。嘘だ。ちょっと言いすぎた。傷つかないでくれよ、もしもこれを読んでいる後輩よ。肛門と言えば、この日、友人が良い慣用句を発明してくれた。いわく、肛門は汚くないのだと。では、この世で肛門が汚くないというならば、何が汚いのか? いわく、それは「裏切り」であろうと。「裏切りは肛門より汚い」。良いことわざだ……。毎日使おう……。

 

パンパカパーンな雰囲気の元、挙式が始まる。新郎が入場する……。その姿は、戦う男だ。立派な戦士に育った。彼は漢なのだ。そしてその後、新婦が入場する……。その姿は、赴く女性だ。彼女は、戦士に寄り添う女なのだ。そして二人は結ばれる。おお、神々しきことこの上無し。シャインあふれるその眩しさよ……。

 

遅れグソの後輩のログインが終了した後、お待ちかねの披露宴が始まる。グヘヘ、料理をたんまりと食わせていただくぜ……。バカ! ネトハ! 料理がメインなんじゃないだろう。料理はサブだ。添え物だ。もちろん酒もだ。メインは、あのTAKASAGOに腰掛ける二人では無いか……。

 

漫トロ関連グループは同じテーブルに席を用意されていた。ひとりひとりにメッセージカードも書いてある。それぞれのメッセージが書かれた時の状況を想像すると、小宇宙のビッグバンが脳裏に浮かぶ。そうか、結婚式とビッグバンは、似て非なるアナルだったのか……。

 

スピーチ、乾杯のあいさつが終わり、いの一番に我々のテーブル軍団が、写真撮りにTAKASAGOに赴く。我々が最初に行かずして、だれが最初に行くのか。これは傲慢では無い。ビッグバンなのだ。わかるか。わからないだろう。俺もよくわからん。だが何はともあれ、コスモなのだ。違いねぇ。

 

おいおい、我らの友人代表が、スピーチをおっぱじめやがったぜ。半分予定調和、半分アドリブの、混合力は遺憾なく発揮され、素晴らしいスピーチと相成った。湧く会場。湧く披露宴。湧く夫婦。おいおい、”湧きパ”とはこのことかよ……。ワッキーパかよ……。

 

ケーキカットも、あったね。新婦がでっかいスプーンでケーキをえぐるのも、ベタだけど盛り上がる。この世には必要の無いベタと、必要性のあるベタとがある。今回は後者だ。ワッキーパここに極まれり。湧き湧き、湧き湧き……。

 

お色直しも? プロフィールビデオも? 我々の心臓を通り過ぎて行った。漫トロの写真がたくさんあったのは嬉しかった。その中には故人とのツーショットもあったりして、ちょっと、感極まるものがあった。名状しがたき感情がお味噌をシェイクする。

 

お色直しも終了すると、ほぉら、フラッシュモブだぜ。ゲヘヘ。狂乱する私。友人。新婦。感極まる新郎。めでたい。ワッキーパだ。うーむ、ワッキーパ言い過ぎて胃もたれしてきた。もうワッキーパとか言いません。盛り上がったとか単純に言えば良いだろう。傲慢なるネトハめ。

 

なんやかや、なんやかや。新婦友人からのお祝いVTRとかも挟みつつ、物語は終盤へ。必要性のあるベタであるところの、新婦からの手紙を読んだり。最後に新郎側からの挨拶があったり。感極まる新郎を見て、感極まる列席者たち。これこそがワッキーパなのだ。

 

おいおい、もう披露宴終わったのかよ。短すぎだろ。楽しい時間はあっという間に過ぎる。お腹も知らぬまにパンパン。「もうお腹パンパンだよォ」。そして宴は終わる。嘘だ。まだ終わらない。二次会がある。会場へと足を向ける一同。より大きな物語の渦へと、皆で侵入していくのだ。スウィート・エクスペリエンス。芳醇な日本酒で溺れよ。

 

日本酒の鏡開きから始まる二次会。半立席パーティ。パーリナイ。狂乱する一同。祝福の雄叫びが飛び交う。そこは祝いの戦場なのだ。コングラッチュレーション!! 卒業以来、顔を合わせていなかった旧知の友人や後輩たちも戦いに参加していて、こういうのも、結婚式の良いところDANE。そうじゃない?

 

始まるビンゴ。当たる私。おいおい、私は特別な人間にもほどがあるだろう。傲慢になりつつ、もらった景品はオシャンティなシャシンシュウ。同時に当たった友人は松坂牛。ほう。しかし羨ましくはないぞ。だって、食べたらなくなっちゃうもんね。牛はね。シャシンシュウは食べられないからね。食いたければ食ってみるがいい……。

 

そのあとは幹事と新郎からの余興。サプライズ込み。彼の人柄と趣味と得意分野が、錯綜そして混成し、この世で一つのシェイプ・オブ・ラブ、爆誕。ビーハッピー、フォーエバー……。

 

二次会も終わると、三次会は我らの元活動拠点へと移動。懐かしき空間。ある意味で二人の愛を育んだ場所? 本日の物語は終盤へ。率直に言って、この拠点は、綺麗な場所とは言えない。だが、それは問題では無い。ここは、古きと新しき、そして未来が折り重なる、聖なる空間。物語の終局にふさわしき環境。最後にここぞとばかりに爆発する一同。煮え滾った光景。そこにはサイコエネルギーの波動が満ち満ちていた……。

 

おめでとう、お二人。幸せそうでした。ご招待ありがとう。末長く、お幸せに。

『Horizon Zero Dawn』クリア後レビュー(シナリオのネタバレは無し)

一応クリアしました。まだそんなにやりこみ要素はやってないけど、そんなに量も無さそう。ただ、今後さらに追加される見込みはありそう。

ゲーム開始数時間の時点ではベタ誉めの勢いだったけど、一通りのストーリーを終えてみると、感想はまた違ったものになってしまった。良い点と悪い点があるオープンワールド型ゲームでした。

なお、私が今までやったオープンワールドは、スカイリム、FF15、ウィッチャー3、程度なので、この点においては比較材料はそこまで多くありません。

 

・良い点

世界観がgood。世界を蹂躙している機械獣を、民族衣装着こんだ主人公(女性)が弓を使って狩猟していく、ていう光景が、なんというか、美しい。かっこいい。

そしてその戦闘は面白い。弓で照準合わせるわけだけど、機械獣には弱点部位があって、そこに正しく当てないとあまりダメージを喰らってくれない。敵の攻撃も結構多種多様で、一撃が重い。動きも素早い。要するに、自分も相手も動き回る的当てゲームになっていて、そのアクションが単純に楽しい。ザコ相手でも油断ができないので一戦一戦が熱い。罠を設置するとか、草むらから隠れて奇襲するとか、戦略性も十分。というかそういうのを多用しないと、倒すのが厳しかったりする。ああ、ワイは今、狩猟をしとるんや、という、プリミティブ欲求が満たされる。Normalモードでも割と死ぬ。

ゲームの種別としては、昨今隆盛のオープンワールド型。機械獣がそこらの自然的風景の中で、羊のように群れている光景は新鮮だ。ただし、このあたりは良くも悪くもある。後述する。

 

・悪い点

これは人によると思うが、私にとっては、ストーリーがB級SFで、かつ欧米的価値観が強すぎた。ネタバレは避けたいので、具体的なシナリオについての言及はやめておくが、この価値観について、哲学的深みは期待できない。もう少しフランクに言うと、少々薄っぺらい。

このSF要素について、細かい部分が良く作り込まれているのは、端々から感じられるのであるが(フィールドのあっちこっちに世界の成り立ちについてのヒントが細かく散りばめられている)、なにぶん、根本的な価値観が、私に合わなかったので、「ふ〜ん」で済んでしまった。そうとなると、その細かい設定を見るのにも、次第にうんざりしてきてしまう。いくら枝葉が豊かに生い茂っていても、幹がしょぼいと、その樹木の魅力は大きく損なわれてしまうのだ。

繰り返すが、この部分は人によると思う。が、恐らく多くの日本人にとって、ちょっとした違和感くらいは持たれるんじゃないかと思う。盲目的にそれを受け入れるのはそう難しいことではないが、少なくとも「考えさせられる重厚で哲学的なストーリー」というものではない。まぁ、ハリウッド映画でよくある、地球ヤバイ、人類の叡智を持って救おう。人間サイコウ。みたいなイメージに近いものがある。

 

・良くも悪くもある点

オープンワールドの景色が、単調。どこ行っても同じような風景で、飽きる。緑の草原やら、砂漠のようなとこやら、雪山やら、もちろんいくつかの種類はあるが、この種類数との相対的にマップが広大なので、だから見飽きる。

そして主人公のキャラクター性。このゲームの前に、オープンワールドの代表作である『ウィッチャー3』をやったのも大きいが、キャラの魅力に欠いている。自分を投影するにはキャラが相対的に立っているし、物語に没入するにはキャラが相対的に立っていない。要するに中途半端な印象を、私は受けた。なんというか、ふつうの人なのだ。良くも悪くもふつう。それに比べて、『ウィッチャー』の主人公ゲラルトの、なんとキャラが立っていたことか。あいつはカッコよかった……。この物語の主人公のアーロイは強き女性である。戦う女だ。しかしそこまでカリスマ性があるようにも、カッコいいようにも、あるいは可愛いようにも、見えない。けどこの世界の他のモブ達は、みんな彼女をカリスマ的存在と見なすようになっていくのが、いささか腑に落ちなかった。お前、ちょっと戦闘力が高いだけの小娘じゃねぇか、という感じ。もちろん、物語中で唯一無二な役割は背負わされているのであるが、それでも、である。

あと、サイドクエスト。少なくもないが、多くもない程度の数。たぶん今後DLCで増えるとは思うが……。そしてこれ、また『ウィッチャー』と比較して申し訳無いが、これも一つ一つがそこまで魅力的では無い。またしても「ふ〜ん」となってしまう要素だ。たぶんこれは主人公のキャラがあまり立ってないというのも大きい。ウィッチャーのゲラルトさんは、厳しい修練の果てに絶大な能力を身につけた気高きオッサンであったが、この物語の主人公は、耳の上に運良く古代の秘密装置を付けて能力を発揮してるだけなので、それお前がすごいわけちゃうやん、となる。あなたが現代において道に迷わず目的地に辿り着けるのは、あなたの地理的把握能力が凄いわけではなく、googleマップ様が偉大だからだ。それと同じようなことだ。凄いのはその秘密道具なのだ。それで問題を解決しても、やっぱりうちらの主人公様はカッコよくてカリスマだぜ、とはあまりならない。

あと、マルチエンディングは無いです(たぶん)。選択肢が出てくる場面はちょこちょこあるが、どれ選んでも変わらない。だからこそ、根幹のストーリーはより一層重要になるのだが……。

 

・まとめ

・・戦闘は面白い。コンマ秒単位の動きで差が大きく出るので、一度戦闘が始まると、まったく画面から目を逸せない。手に汗握ると言える。

・・しかしシナリオは陳腐。作り込まれているだけに一層残念感が増す。欧米的価値観に万歳できるなら問題は無いと思うが、個人的には厳しかった。

・・キャラがいささか立っていない。

・・景色が単調。美麗ではあるけど。

 

こんなところでしょうか。あと、ゲーム音楽ですが、特に印象が残る場面は無かったです。ちょっと地味かな。壮大なボス戦音楽、とか、壮麗なフィールド音楽、とかでは無かったと思われます。

あと、寄り道しなければ、クリアにかかる時間は30時間くらいかな?

 

・最終的な評価

以上のように、個人的には色々と微妙なところはあったけど、それでも10点中で8点くらいの出来。古代民族感と機械獣との対比の絵面と、迫力の戦闘だけでそのくらいの面白さはある。アクションゲームと思えば良い。B級SFはオマケとして捉えればよろしい。

 

もしあなたが初めてオープンワールド型のゲームに手を出したいならば、まず『ウィッチャー3』をやった方が良いだろう。

ゲーム始めてすぐは『ウィッチャー3』と肩を並べられるか、と思ったが、そこまでではなかった。残念。なお『ウィッチャー3』は10点満点の超優良ゲーです。